徹夜。先日録った会話記録を編集して、出発までの時間を潰す。9時半頃に支度をして電車に乗った。

Cさんの家に行った(写真はCさんの家ではない)。今日はDさんEさんとともに集まって、映画の鑑賞会および、なんかお絵描きしようみたいな会合。
『バッドガイズ2』を見た。ドリームワークスの新しめの作品で、元泥棒のオオカミ、ヘビ、サメ、ピラニア、タランチュラが、なんやかんやあって世界を救う話。前作では重要な位置だったヘビが今回は脇役になっていたのだけれど、そのキャラクターの落ち着き先がなんかよかった。恋人に騙されて裏切られるたび、その恋人に惚れ直してしまうという性格。
その後、間髪入れずに『Flow』を見た。水かさの増していく世界で、猫が舟に乗る話。アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した低予算インディペンデント映画で、全編Blenderで作られている(しかもレンダラはEEVEE)。全体を通してプレイステーションのゲームみたいで面白かった。リアルな猫の挙動が美しかったけれど、個人的にはもっと写実的(つまりもっとリアル)がよかった。猫に白目がなかったのもあって、感情の表れがちょっと漫画的に表現されすぎていた(他の動物キャラはなおさら、人間味がありすぎて動物に見えなかった)。Strayくらいの写実性がいいと思ったんだけれど、むしろこの作品くらいの戯画性を表現するために、EEVEEのレンダリングを選んだと考えることもできるかもしれない。どうなんだろ。あまり好きじゃなかったな。終わりかたは素晴らしかった。洪水に呑まれる世界を一巡りした結果、ネコの心にかつてよりも壮大なエコシステムの存在が刻まれた感じ。
その後、Cさんがブルーレイを持っていた『ロボットドリームズ』を流した。これは皆すでに見たことがあった。独り身の犬が、ロボットを購入して友達になる話。素晴らしい名作……だが、徹夜明けの僕とDさんは途中で寝てしまった……。起きていたCさんは、犬の行動が迂闊すぎることにぶつぶつと不満を言っていた。わからなくはないけど、それは強者(きょうしゃ)の立場の感想だなと思った。
CさんとEさんの映画の感想は、僕のそれとかなり違っていた。特にFlowとロボットドリームズで思った。キャラクターの言動が合理性を逸していたときや、いわゆるわかりづらいストーリーに出くわしたとき、CさんとEさんはわりと率直に「この言動はアカンだろ」「説明が足りてない」と言う印象があった。時にはあるキャラクターの言動の合理性の瑕疵をフォローすることもあったが、そのときも「まあまあ〇〇だったから、こういうことになるのはわかる」と別の合理性に基づいて説明しようとしていた。
僕は映画で不可解な表現に出くわすと、まずその不可解さが語られていることに打ちのめされるというか、自分のなかの合理性の眼差しがいかに奥行きをもたないものだったかを痛感する。そしてその自覚の感覚に身を浸して、ゆっくりするみたいなことをする。温泉に浸かっているような感覚になる。これは僕とCさんやEさんのあいだで、世界の説明(不)可能性や「歯が立たなさ」みたいなところへの理解に違いがあるからなんじゃないかと思った。
あるいは、「物事を(が)正確に伝える(伝わる)こと≒デザイン」への執念の差とも言えるかもしれない。CさんとEさんは、精緻なデザインのゲームを作る人だ。二人のそれぞれの制作のあいだにも面白さの組み上がっていく過程には違いがあるのだけれど、僕から見るとどちらもデザイン的思考によって作られたゲームだなぁと思う。それに対し、僕はまず第一にデザイン的な営みへの諦めみたいなものがあり、その無力感から出発して創作活動をする。そんなやりきれなさがある。
それぞれの異なる世界観が、映画を見たときの反応にも断絶を生んでいる。ように思う。そのことが面白いと思ったけれど、怖くもあり、あまり踏み込んで聞けなかった。今度話してみようかな。

Cさんが焼きそば作ってくれた。美味しい。ネギと豚ばらのみで、Cさんは「具は少ない方が美味い」と言っていた。確かにその通りだと思った。
その後、ワインやクラフトビールを飲みながら絵を描いたり、野望を語ったり語らなかったりした。Dさんが選んだ1,400円くらい? のクラフトビールはめっちゃ美味かった。甘くて苦くて複雑でよかった。Dさんが「IPAとピルスナーを足して2で割ったくらいすね」と言ったので、僕も真似をして「IPAとピルスナーを足して2で割ったくらいすね」と言った。IPAもピルスナーも何。
ちなみに2026年に入ってから、二度ほどお酒を飲んでしまっている。先日実家に戻ったときにも、祖母にワインを勧められて一口飲んだ。2025年の僕は完全断酒を掲げていた(そして「一生飲まない」とも言った気がする)けれど、今年のマインドとしては、ぴろっと飲むくらいなら体調崩さないので、いいかなって。いいかなって思っちゃった! ハハハ。だって美味いものは美味いからさあー。赦せ。いや、赦すな。赦しを得ようとした己の弱さ、恥じて抱えて生きろ。飲食店では今後も頼まないかな。

疲れた。
リンゴがあったけどCさんが俺リンゴ剥けないと言うので、僕が手を挙げた。「大丈夫? 手切りそう」と言われた。信用がないな。僕を信用しないのは正しい。それはそれとして、僕は本当にリンゴを剥ける。剥いて切ったら「上手いじゃん」と褒めてくれた。
ぼちぼちCさんの家を出た。宅飲み映画鑑賞会とても楽しかった。

もつ鍋の店に行って食べた。箸入れの中に入っていた箸が、四角形のものと六角形のものが混在していて、我々全員とも一本が四角形、もう一本が六角形のペアで食っていた。そのことが無性に気になってきたので、途中で変えて同じ形のものに揃えさせてもらった。
AI、プログラムと絵を描くこと、キャラクターの強度という概念、身体を売ること、ゲームのアイデアはあっても形にできないこと、SNSなどについて話した。Cさんが「AIのせいでインデントを打つ仕事が奪われて嫌だ。俺はインデントを自分でカチカチ打っていたいのに、(インデント補完はAI以前の技術だが)AIはそういう手作業を奪って、創造的な仕事ばかり人間に押しつけてくる。誰しもが創造的なことをやりたいわけじゃない」と言っていて、共感した。
今後の活動をどうしていくかについても話した。まあ僕がやるべきことは、今やっていることを引き続きやり完成させることに尽きた。

帰り道は雪が降っていた。明日も降るらしい。