UnkoPods Pro

2026 - 02 - 10

寝ている間に一度、祖母から電話がかかってきた。

「うちに電話が2本来たの。まず〇〇病院?ってとこから『お忘れ物がありますから取りに来てくださいね』って電話が来たんだけれど、あんた〇〇病院って行ってる?」「行ってないよ。僕が忘れ物したんだったら僕の携帯にかかってくるでしょ。あなたのかかりつけ医じゃないの?」「あぁそう。でその次にね、郵便局から。『緊急の用事ですので、1を押してください』って」「それ詐欺だよ。郵便局が緊急とか言うことないよ」「へぇそうなの」「1押しちゃだめだよ」「あぁそう、ハイありがとう。忙しいところ悪かったわね」「忙しくないよ。寝てただけ」

祖母はどんどん歳をとっているんだなと思った。寝た。

目覚めたら、大きな屋敷のなかの部屋にいた。僕はすぐにこれは夢の中だと気づいた。飼っている猫がいたが、1匹じゃなくて5匹くらいいたのだ。僕は5匹が食べられるくらいの量の餌を皿に盛った。でも5匹がそれぞれちゃんと食べられているかは確認しきれなかった。みんな似ているので区別がつかないのだ。とにかくここは夢の中なわけで、僕は早いところ脱出しようと思った。どうすればいいかわからなかったけれど、とりあえずズンズン部屋を練り歩いた。

そうしたら起きた。猫の姿を確認したら、ちゃんと1匹だった。よかった〜と思ったら、今度は猫とはべつに犬も1頭、部屋にいた。犬なんて飼ってないよ。ここはまだ夢の中なのか。その犬は熱した鉄板の上にでもいるのかというくらい慌ただしく跳ね回って、僕に擦り寄ってきた。猫用と犬用のそれぞれの餌を探さなきゃいけなくて大変だった。ちゃんと餌をあげられたのか自信がなかった。

その後、同じように夢の中であることを自覚しては、また夢の中で目覚めることを繰り返した。どうすれば現実世界で起きられるんだろう、と考えた。現実の自分は今布団の中で眠っている。だからこう、ぐいっと両手をよじるような動きをすれば、多分布団の感触を両手に感じることができて、その感触を手がかりに現実世界の物の配置や質感を確認していって、目覚められるんじゃないか。僕はぐいっと両手をよじった。

すると見事に布団の感覚を見つけた。目を開けると、寝室の天井があった。やった〜。やっと現実世界で起きれた! リビングに出て、猫の数を確認した。ちゃんと1匹……じゃなかった。普通サイズの猫が1匹いるだけでなく、それをそのまま縮小したようなちっちゃな猫が5〜6匹、塊になって身を寄せ合っていた。犬も2頭いて、山羊もいた。クソオオオオオオ! しかも山羊は今にも糞を出しそうにしていたので、僕は慌ててトイレ替わりになるバケツを見つけてきて、山羊の脚の間に置いた。ポロポロポロポロポロとうんちが出てきた。

そんな感じのインセプションを無数に繰り返した。毎回手をぐいっとして、寝室で目覚めた。手をぐいっとするメソッドは眠りから覚めるのにはちゃんと役立った。ただ目覚めた先が依然として夢の中なのが問題だった。どういうテーマなのかわからないけれど、夢の中では毎回飼っている動物の数が現実よりも多くて、僕は多頭飼い状態だった。それで毎回、飼っている子たちの区別がつかないことや、ちゃんと餌をあげられているか自信がないことに胸が痛んだ。

また手をぐいっとして寝室で目覚めた。立ち上がって、リビングに出た。パートナーがソファに横たわって本を読んでいた。今までで一番現実に近かった。猫がいないから。よくよく考えたら、うちに猫はいなかったわ。0匹で正解。僕は壁にぶつかったり、加湿器に引っかかったりしながら、室内をぐるぐると歩き回った。体温計を取り出して、体温を測った。パートナーに「熱あるの?」と訊かれた。僕は「夢の中で測ろうとしてたから。さっきからずっと無数の入れ子の中で夢を見ていて、今もまだここが現実なのか夢なのかわからないから」と意味不明の説明をした。体温計が鳴って、温度を見ると36.4℃だった。超平熱。僕はトイレに行って用を足した。

便座に座ってしばらくすると、背後で「カラコン、ぽちょん」と音がした。僕はウワーと思って、右手を便器のなかの水に突っ込んだ。そして、うんちの真横に浮かんでいたイヤホンを拾い上げたアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。

アアアアアアアこれ夢じゃないのかよ! ああもう! うーんーあんわうんうんうわうんう!

何が起きたのかというと、目覚めたとき、腹巻きに右耳のイヤホンが挟まっていたのだ(毎晩ワイヤレスイヤホンをつけて寝るから、起床時に左右ともどっかいっちゃってんのだ)。そのことに気づかず僕は便座に座り、そのはずみで外れたイヤホンをトイレのなかに落としてしまった……。2025年4月16日に、僕は一度同じことをやってイヤホンを水没させたことがあった。このときめちゃくちゃ反省して、以後僕は、目覚めたらいの一番に両方のイヤホンを見つけ、ケースにしまうことを習慣にしていた。

しかしその習慣を、今日だけは怠ってしまった。なぜなら、なぜなら、ここがまだ夢の中だと思ってたからだよおおおおおおお。あまりにもたくさんの夢の中で目覚めるということを繰り返していたので、今もどうせ現実に見せかけた夢の世界にいるのだろうと高をくくっていた。だからものすごい雑に動いていた。「なんでイヤホンをトイレに水没させた世界に限って現実なんだ!」と言ったら、パートナーに「ここは夢の中だからイヤホンは無事だよ」と言われた。

昨年落としたイヤホンは左耳のほうだった。今日落としたのは右耳。これで僕の愛用するイヤホンは、左右揃ってトイレ水没済みのUnkoPods Proになった。これではどれだけ美しい曲を流しても、茶色い調べしか耳に届かない。

そんな朝だった。

夢みたいな朝ごはん食べた。

Geminiのアイコン、ちょっと大きくなった? だんだんこっちに来ている?

その後、また寝た。全然眠い。多重の夢を見るときや、明晰夢を見るときはたいてい睡眠の質が悪い。ソファで寝て、ベッドで寝た。18時に起きて晩御飯だけ食べたあと、また寝た。

23時頃に目覚めて、ようやく作業を開始した。ゲームの肉づけはほぼできたから、あとはシステムを整備するだけだ。ログ閲覧機能や会話のスキップ機能を入れた。作業時間は3時間ほどだったが、とてもテキパキ実装できた。それに作業がものすごく楽しかった。

最近はとりあえずAIにコードの提案をさせ、それを僕がちらちら参考にしながら手書きしていくという形式を取っている。記述作業までAIに任せてしまうこともできるが、そうするとどこに何があるか僕がわからないままコードがどんどん長大になっていってしまうのが問題。AIがどうしても解決できないバグに躓いて、やむを得ず僕の脳みそで解決しなきゃいけない状態になったとき、問題の箇所を見つける作業が地獄になる。どのクラスにどのような変数やメソッドがあってどのような継承・参照関係にあるのか、などは自分が常に手綱を握って把握しておくほうが現状はベターだなという判断。手書きだと命名も自分の裁量でできるし。だからコード自体は自分の手で書いている。それに何より、コードを書くという作業はそれ自体が楽しいから。キーボードを打つのが楽しい。楽しいことをAIにやらせるわけにはいかない。

6時ごろにランニングをした。シャワーを浴びて、何ご飯かわからないけどパンとおにぎりとヨーグルトとバナナを食べた。

今日は半分夢の世界にいたので、いつ始まりいつ終わったのか判然としないが、作業のほうは進捗を作れていい日だった。