広いキャンパスの遠くのキャンバス
あああ~~~~~~~~!!!
ポートフォリオ、第一稿が完成した。時間が無くていろいろと妥協したけど、とりあえず今日〆切のものには間に合った。提出できたならよし。でも、これからもっとブラッシュアップしていかねばならない。なんにしても、間に合った。僕は作業ができたことが嬉しかった。
夜通しやって、13時になっていた。今日はうちの大学の文化祭が開催されていた。徹夜だけど、それに行くことにした。昨日のデジゲー博に引き続き、遅ればせの参加となりそうだった。僕は電車に乗った。
自分の通う大学の文化祭に行くのは、初めてのことだった。1年生のときも2年生のときも、僕は無関与を貫いていた。理由は覚えていない。たぶん別のことで忙しかったのだろう。昨年の今日何をしていたかを調べてみると、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を集中してやっていた。じゃあ仕方ないか。諸事情で三日以内にクリアする必要があったから、めっちゃ急いでいた。急ぎティアキン。
撮影の練習がてら、お友達に貸してもらった一眼レフを首に下げていった。

すごい活気だ。思っていた以上に大規模なフリーマーケットがおこなわれていた。じっくり見ていたら、ここだけで一日が終わってしまう。オリジナルのキャラクターグッズや、服、手芸品や陶器など。ちょっとしたコミケ(デザフェスか)だった。僕は衝撃を受けていた。うちの大学って、こんなにたくさん学生いたんだ。そして、みんなこんなに物を作ることが好きなのか。
友達も出店していたので、会いに行った。お店では、彼が描いた風景画の缶バッジやクリアファイルが売られていた。缶バッジはラストの一個だった。長野県大城山の木々の様子が、アクリル絵具で直接描かれていた。友達は「それ最後の売れ残りだから、一番しょぼいやつだよ」と言った。これから買う者にそういうこと言うなよ。僕は千円札を出し、缶バッジとクリアファイルを貰った。

フリーマーケットはざっと見て、あとは作品展示を見た。これよかった。コップに水が並々注がれたときの緊張感が、レジンで表現されている。思い出はガラスコップ越しに蘇るらしい。

これめちゃくちゃよかったなあ。様々なモニタ(ブラウン管や、古いMacなど)が囲む空間。その中心を、アームがときおり回転する。回るアームの先端には、アンプが付けられている。アンプがモニタの前を通り過ぎるとき、モイ~ンと音が鳴る。音はモニタの種類によって違う。おそらく電磁誘導によるフィードバック音(マイクをスピーカーに近づけたときに起こるハウリングの、電磁波バージョン)が鳴っているのだ。解説文が無かったので回転の仕組みはよくわからなかったけど、各時代の静電気を纏ったモニタたちの声が聴こえるようだった。

テクノ研究会が、一つの講義室を会期中ずっと押さえていて、延々とテクノを流していた。
少しだけ踊ってみた。完全にテクノだった。うちのテクノ研究会は、数年前に千鳥の番組に取り上げられてバズったのもあってか少し有名だ。なぜバズったかというと、そのときテクノに合わせてうどんを踏む「テクノうどん」をやっていたからだ。テクノうどんは一応ふざけているわけではなく、クラブ営業への締め付けが強化されていく風営法に対し「我々はうどんをこねているだけで、踊っていない」という口実のもと踊ることで反対の意思を示す抗議活動だ。
講義室から出ると、キャンパスが静かだった。音圧で耳がやられたのだ。

僕が学生生活で利用してきた建物は、自分の学科の棟と図書館とリベラルアーツ棟くらいで、本当に限られていた。友達も片手ほどしかいないから、行動範囲は狭かった。今回の文化祭を通して、僕は他の学科の建物の内側や、いろんなメディアの学生作品をたくさん見ることができた。僕は圧倒された。レベルの高い作品が想像以上にいっぱいあったのだ。来るのが遅かったものあり、まったく回りきれなかった。全然知らなかった。こんなにたくさん学生がいて、こんなにたくさんの展示が行われていたのか。自分はすごい人たちの集う学校に通っているんだな、としみじみ感じた。今日は来てよかった。

作品ではないけど、変な床もあるし。大学は広いな。変な椅子もたくさんある。
メディアアートとグラフィックデザインの展示だけ回ったところで、展示終了の放送が流れてしまったので、絵画や彫刻は見れなかった。リベラルアーツ棟では、ゲームの展示もあったらしい。無念。

外からちょっとだけ油絵が見えた。遠距離から鑑賞した。
歩いて帰った。正門前の交差点で、真っ赤な車がでかい音を鳴らしながら派手にドリフトし、爆走して消えていった。びびった。あれは作品ではなかった。
来年は自分も教室を借りて展示をしようと思った。トロヤマイバッテリーズフライドのゲームセンターを作るのだ。文化祭という催しの豊かさを目の当たりにし、やる気が出た。お客さんもひじょうに多かった。展示する価値がありそうだ。展示空間は倍率の高い抽選で割り当てられるので、運次第にはなるけど。ぜひ遊びに来てね。

ミミズいた。
僕のパートナーには「I see.」という口癖がある。僕が何か話している内容に対して「なるほどね」みたいな感じで、事あるごとに「ハンハン。I see.」「I see! わかりました」などと言うのだ。最近それがついに僕にも感染ってきて、ふとした瞬間に「I see.」と口をついて言うようになってしまった。便利だなこれ。でもすこし悔しかった。それについて考え、僕は僕独自の「I see.」を開発してみた。
それが「ワカチコ」だ。
この記事冒頭に埋め込んだ、少年隊の『デカメロン伝説』。歌詞というか、合いの手として連呼される「ワカチコ」という謎のワード。ゆってぃのギャグに使われている印象が強い人が多いと思うが、それもこの曲が元ネタだ。僕はこの曲と彼ら少年隊のダンスがすごく好きなので、「ワカチコ」というワードもそれなりにリスペクトしている。運のいいことに「ワカチコ」は「分かった」と響きが近いので、I seeの枠におあつらえ向きだ。僕はこれから、パートナーの言う「I see.」への対抗手段として、これからは「ワカチコ。それで、その子はどうなったの?」「あ~ワカチコワカチコ! そういうことね」のように相槌を打っていこう。きもいか。
寝る準備は整っている。この三連休、異なる複数のイベントに参加しながら、ポートフォリオを作るという達成を果たした。僕はこの三連休に、結構満足していた。あとは睡眠で締めくくるだけだ。