同じところに戻って来ちゃったみたいだね
朝6時に起きた。元気がある。
病院に来た。受付の人が、いつもの低い声の人ではなく、高い声の人に代わっていた。今まで、一度も他の人が受付だったことはなかった。あの人のワンオペだとばかり思っていた。辞めたのかな。
先生は代わっていなかった。診察は長話の時とすぐ終わる時があるが、今日は後者だった。処方量の確認を取るため、先生は内線電話を取り、受付の人につないだ。「普段は処方箋の作成はそっちでやってもらってるけど、〇〇は処方の手続きでミスると色々と面倒なことになるから、毎回こうやって電話で報告をするのでよろしくね。今日はトロヤさんが〇〇を1日2錠です。うん、そうです。これからもこんな感じでやっていくので、ハイ、よろしくお願いしますー」先生は受話器を置いた。
やっぱりさっきの声の高い人は、最近入った新人だったのだ。これからは受付は、この人なのだろうか。もしそうなら、前の受付の方と共有していたあれこれ———トロヤは診察カードを連続で紛失したので、今はもう新しいのは作らずに保険証を診察カード代わりにしていることとか、訳あって特定の薬が大量に家に余ってしまっているため、その在庫を処理するまでは処方をストップしていることとか———をまた一から共有し直さないといけないな、と思った。
薬局のテレビで、アメリカの大統領選挙の進捗が出ていた。トランプがペンシルベニア州で勝利を確実としていた。大統領選のために、今日のタイムラインはいつにも増して殺伐としている。さながら戦場の様相だ。こういう日は特に、意識的に見るのを控えた方がいい。自衛だ。
このツイートだけが良かった。これ見たら今日は十分だ、引き上げよう。僕はTwitterを閉じた。閉じたあと、思い出してもう一度笑っちゃった。
最近、ホロライブ所属の「轟はじめ」というVtuberの配信を見ている。作業中に流し見している。発音が独特だ。今までに聞いたことのない喋り方をするのだ。サ行がタ行の音に、ラ行がダ行の音に置き換わったりしている。イ段やエ段で終わる文は語尾に「ゃ」がつく。「うれしい」が「うでちゃ」のように聞こえる。この音韻変化の規則を考察する動画があって、僕はそれでこの人の存在を知った。彼女の喋りを聞いていて不思議な気持ちになるのは、滑舌や方言による母音の変化先に、主に日本の標準語では使われない母音がたくさん含まれているかららしい。「○○地方っぽい」「○○語っぽい」というのが自分にはあまり思い当たらず、本当に轟はじめだけのユニークな喋り方という感じがする。良い。
薬を受け取って、薬局を出た。昨日日記に書いた今日の目標は、「片づけ」「プール」「読書」だった。まだ何もできていない。帰る前に、いっちょプールで泳ごう。僕はこのためにあらかじめ水着、水泳帽、ゴーグルの水泳3点セットを持ってきていた。僕は市民体育館へ徒歩で向かった。50分ほど歩くことになるだろう。

塀の上に、なんだこれ。八朔?
50分後、僕は気づいた。タオルがねーじゃねーか。水泳は4点セットだった。失念していた。僕はかぶっていた帽子を空に放り投げたくなった。僕は踵という踵を返して、帰宅した。プール失敗。
帰って寝そべると、もうエネルギーがなくなっていた。心が折れているのか。祖母からLINE通話がかかってきた。出ると「ご飯できたわよ。食べなさい」と言われた。ついに祖母も、LINEを使えるようになった。僕はキッチンに行って、祖母から晩御飯を受け取った。僕はご飯を基本的に自室で食べている。
かろうじてご飯は食べたけど、これ以上動けそうになかった。歩こうとすると、脚の内側からジワッと疲労物質みたいなのが出て、動きを阻害するのだ。すぐに倒れこんでしまう。
気づいたら3時間ほど寝ていた。起きたら、全身がアンバランスに痛くて、メンタルの状況も悪くなっていた。咳もひどくなっていた。このまま横になって、何もせず、意識を失いたい。布団の重さにも納得がいかなかった。これは重石だ。具合が悪いとき、自分の部屋のものとすれ違うような感覚になる。他人の布団になってしまったのでは。錯覚するほどに、馴染まない。これはすごく大きなストレスだった。
「片づけ」「プール」「読書」すべてに着手できなかった。なるべく小さな成功体験から復旧することを目指したが、躓いた。まあ仕方ない。早めに諦めることにした。今日のことは、見限る。きっと僕の日ではなかったのだ。他の誰かに譲ろ。
最後にひとつ 今日考えたことを書きたい
けど
間に合わな そうだな