しろとりしょうねん
昨晩、夜0時に眠れた。夜らしい夜に眠れたのはすごく久しぶりだった。そして朝10時に起きた。人間的な時刻だ。処方されたセロトニンの分泌を促進する薬が効いてきたのかな。それともここ数日、毎日外に出て光を浴びていたのが功を奏したか。ふくふくした気分だ。
今日も散歩した。セロトニンを摂るためだ。すっかりセロ厨(セロトニンを分泌することばかり考えている人)になった。セロトニンは太陽光を浴びることで分泌される。セロトニンは夜間にメラトニンに変換され、睡眠を促し、生活リズムをつくる。今真っ当な生活リズムが形成されつつあるなら、この機を逃したくない。だから最近散歩してる。「浴びる」というのは言い方が曖昧で、太陽光は網膜に受け取る必要がある。目で見ないといけない。その事実を知って以来、外に出るたび「セロトニン~」と念じて太陽を直視していた。数秒直視して休んで、また数秒直視して休んで……みたいなことしてた。自分でもあほだと思うが、直視しないと意味がないと思い込んでた。
今日は考えを改めた。健康な人間たちも別に太陽を直視する時間を設けているわけではない。いったん地面とかに反射した光を見てもオッケーなのだ。つまり、町並みを見ればいいんだ。反射率のもっとも高い色は白だ。僕は白いものを探しながら歩いた。

平たい壁。年季が入っているけど白くていい。セロトニンがじゅわっと出る音がする。

ティッシュの白さには目を見張るものがある。じゅわじゅわ。

タバコの吸い殻も際立つ白さだ。

「タバコポイ捨てしないで」の貼り紙もいい感じに剥げて無垢なる白をあらわにしている。

葉っぱは白くないが適当な角度から見るとかなりセロくなる。勘違いしてはいけないが、大事なのは見るものの固有色の白さではなく、明度の高さだ。緑色の葉っぱがまばゆく光り輝くこともあるし、逆に真っ白のミニバンでも日陰にあったら明度不足だ。僕はデッサンの修練を受けているので、固有色にとらわれず明度の違いのみを見分けるのは得意なほうだと思う。

セッッッッッッッッッ。新しい道路標示はあらためて見ると、新しい。

雲も見がいがあった。今日晴れててよかった。僕のさしている日傘は形が五角形なんだけど、急に「五角形の傘は貧しさの象徴」みたいなイデオロギーがあって周りから暗に見下されてたらどうしようという不安に駆られて、「傘 五角形 ださい」で検索した。

お前は何なんだ! ねじれてよお。白くないなあ!
今日はこれ以上無いくらいに白いものを見た。帰宅後も魂魄妖夢の画像を検索したりしていた。セロトニンの分泌はいかほどか。今、夜の0時23分。まだ眠くない。昨晩だったらもう寝てる時間だ。だめじゃん。ハリー・ポッターと死の秘宝Part1。小一の時、前の席の女子の背中にゲボを吐いたことがある。
友達と3時間ほど通話した。ハーマンミラーの椅子が明日届くらしくて、部屋を急いで片付けしていた。
白といえば、今のところ当ウェブサイトの背景色は完全な白(#FFFFFF)にしている。でもWebデザインの金科玉条として「完全な白黒や原色の使用は避ける」というものがある。原色はコントラストが強すぎて見づらさや野暮ったさにつながるからだ。だから白はすこしだけ暗い白、黒は少しだけ明るい黒を使うことで、洗練されたやわらかい雰囲気を目指すのが原則だ。僕もそれを意識はしていて、文字色は多少やわらかい黒色にした。でも、背景はまだ迷っている。確かに調整された色味はデザインとして洗練されているかもしれないが、その分失われる美学があると思う。原色は往年のテキストサイトの香りをはらんでいる感じがする。HTMLが露出したような堂々とした白さ。まだそれを手放す勇気がない。今のところ。
このサイトの工事もかなり進んだ。明日には一応の完成を見られる気がする。早く寝たい。寝させてください。