Means End, Ends Mean

2024 - 12 - 14

12時くらいに起きた。

アニメの話をしていいですか。

『村井の恋』すごくおもしろい。話を動かすために手段を選ばない脚本と映像がすごい。「要る部分」だけを描いている。転倒した男女が覆い被さるというお決まりの構図をつくるために、このアニメは何の躊躇いもなく、床にバナナの皮が落ちていたことにしたりする。「恋に落ちる」「告白する」といった恋愛ものとしては核心となるシーンすら、製作陣はチェックポイントの一つくらいにしか思っていない。それっぽい舞台に必要なキャラを持ってきて(バスの窓を割って飛び出し、めっちゃ走らせればその舞台に移動したことになる)、両者にいい感じのセリフを言わる。あとは「こいつはこいつを好きになりました! 今! じゃあここからはその前提で話を進めていくんでよろしくね!」という製作陣からの圧のこもった死ぬほどわかりやすい演出がなるのだ。この作品は、山場だけを繋ぎ合わせたファスト映画みたいだ。もとから総集編という感じがする。ただ、山場のいちいちがとても面白い。人物設定もキャラクターもセリフも普通じゃなくて、しっかり面白い。だから見れる。

たまにしか見てないけど『ブルーロック』もおもしろい。競技漫画やバトル漫画のファンコミュニティは、得てしてキャラクターの「強さ議論」に盛り上がるが、ブルーロックという作品はもはや「強さ議論スレ」そのものになっている気がする。サッカー漫画の試合展開など、作者の匙加減でいかようにも操作できる。ブルーロックはもはやそのことに悪びれる様子がなく、ひたすらにキャラ同士をスーパーロボット大戦みたいにぶつけ合わせ、その対面結果を描くことにを繰り返す。ファンが好きな「格付け」の快感を与え続けるのだ。Aの強さはBの強さを上回る、ただしBとCが組み合わさると、Aの強さにも匹敵しうる。だがAの本気モードは、さらにその上をいく……みたいな。

『村井の恋』『ブルーロック』はどちらも現代的なアニメだな〜って思う。描きたいものの狙いがかなり局所的に定まっていて、その狙いの表現をなるべく高密度に詰め込むために、そこに至るまでの過程の必然性、納得感はアニメのストーリーテリングのか「都合の良さ」をフル活用して、押しきる。今の時代のアニメはもはや、小さなドラマを丁寧に積み重ねていって、キャラクターに感情移入させるとかじゃないのかも。丁寧は時代遅れ。過程は描くだけ無駄。遅くなるだけだ。新時代のアニメはこれ。

まあ最近はそんなにアニメ、見てないんだけど……今期はダンダダンと村井の恋だけ真面目に見てて、ブルーロックとネガポジアングラーを、飛び飛びで見ている。

特にない土曜日。

特にない、じゃない。

はじまるのだ。はじめる。忙しい時期は過ぎた。あらかた終わった。心も落ち着いている。

はじめられる。ゲーム開発。

いける。

DJって、一体何をやっているのか。気になって、先生に訊いた。ミキシングを動的にやっているんだろうなーくらいのことしかわからない。クラブに行ったことがないから、わからない。ヘッドホンを片耳に当てながら無数にあるつまみをひねって、体を揺らして、体を揺らしながら水分補給をしているイメージがある。そのつまみ、本気でひねっているのか。僕は知りたい。

ゲームのBGMや、飲食店やホテルのBGMは、一曲の単純なループであったり、プレイリストの垂れ流しだったりする。DJはその曲と曲の狭間(インタラクティブミュージックで言うところの横の遷移)に表現を吹き込み、音楽を使って空間の価値をより押し上げるのだ。なるほど……。2つあるターンテーブルは、それぞれ異なる曲をセットしていたのか。DJは曲同士のトランジションに手を加えるから、少なくとも2つ以上のプレイヤーが必要になるわけか。エフェクターやEQの操作も動的にできるのか。やれること多いな。

複数の音楽を素材に、リアルタイムで場をつくる芸術表現……。音楽を場に奉仕させるという形式は、それこそインタラクティブミュージックを含めたゲームミュージックの精神に近いかもしれない。

インタラクティブミュージックによる音楽の変容は、ソフトウェアで制御される。しかしDJがつくる音楽の変容は、フィジカルな手続だ。そこに魅力があるのかもしれない(インタラクティブミュージックも、プレイヤーのフィジカルに依存するという意味では近いとも言えるけど)。

実際に触ってみるか。僕は体験がてら、先生にすすめられた「djay」というアプリを入れた。無料トライアル期間を利用した。

しばらく触った。

何が面白いのかわからない。

「音楽を動的に変化させる」表現に馴染みが少ないからかもしれない。曲はあらかじめ作られ、完成されている。聴く者はその仕上がりを、黙って味わう。そのような格式ばった音楽の楽しみ方しか、僕は知らないまま生きてきてしまった。音楽を手段として捉える、面白がりかた。わかりたい。

クラブ行くか。

どこに行けば。