突撃!隣のIDE
学校に行けなかった。予定通りの時刻に起きて、朝食をとって着替えるところまではできた。でも着替えたあと、玄関に向かうことができなかった。部屋でしゃがんで、固まってしまった。行けねえ。チクショー。次回に期待。
散歩しようかな~めんどくさいな~と思っているうちに太陽が沈んで、20時になった。

散歩した。
通り過ぎる集合住宅の窓が光っている。一戸建ての2階も灯っている。暮らしがある。みんな、つらい現実を耐え抜いているのだろうか。部屋の中で、何をしているのかね。実際、気になる。みなさんは、自分の部屋で過ごす時間のうち何パーセントが満たされていて、何パーセントが苦しいのか。僕は自室で動けずにいるとき、もっとも自分の不甲斐なさを思い知らされる。自室にいて、満たされることは無い。自室を満たされた作業部屋にするために、目下トレーニング中です。
オオウチという苗字の人の家なのか、「OUCHI」と書かれた表札が建っていて、お家が自己紹介しているみたいだった。
帰宅するとき、自分の住むマンションを見上げた。とても綺麗だった。マンションの電灯が、すべて新品のものに取り換えられて、まばゆい電光がずらっと並んでいたのだ。メリー・クリスマスの予感がする。
忌々しい自室に戻った。腰が痛てェええええ。ああああ~。この部屋で満たされたい。
D_ELLのスクラップブックをつくろう。

どこに提出するわけでもないけれど、基本情報から決めてみた。ジャンルを「ホラー」とすることにした。でも別に、ホラーゲームのつもりで作ろうとはしない。今回は無料でも入手可能な売り物としてリリースしてみることにして、英語版も作ってみよう。ChatGPTやDeepLを頼れば、英訳は出来ないことはないだろう。ネイティブから見たら不自然な感じでも、無いよりはましだ。英語版があれば、ずっと遊んでくれる人が増えるはずだ。完成時期……2024年内としてみた。早く終わらせてDeath the Guitarに着手したいから。えっ、もう12月17日? ヒュ~。となると、もう完成までのタスクを洗い出して、スケジュールを立てないといけないな。

『D_ELL』というタイトルがしっくり来ていなくて、いまだ悩んでいる。『D_ELL』はTwitterで検索するとアンダーバーが考慮されないから、dellを含む無数の投稿ばかり出てきてしまうことに気づいた。じゃあだめじゃん。ハッシュタグだけではなく、単純検索でもたどり着けるようにするべきだ。どうしようか。タイトルを悩むこと自体に面倒くささをおぼえている。何がいいですかね~と、先生に相談してみようかな。

ゲーム内に存在しているはずのオブジェクトがプレイヤーに「無視される」ことに興味がある。ゲームを始めた直後は、地形やオブジェクトの一々が、反応するのか反応しないのか、よくわからない。とりあえずむやみやたらにボタンを連打してみて、反応性を試してみたりする。ゲームを進めるにつれ、そのゲームにおけるインタラクティビティのスタンダードがプレイヤーに馴染んでくる。馴染んだプレイヤーは、無反応な木はただの装飾オブジェクトなのだと学習しているので意識しなくなるし、人の家の壺に反応性があることを学習したあとは躊躇なく壊して回ることになる。ゲーム空間ないしそこにあるモノは、プレイヤーに予想と期待を持たせる。そして、モノに対する関与を促す。関与されたモノは、プレイヤーの期待になるべく応えるようなフィードバックを発する。その確認作業の繰り返しが、プレイヤーとゲーム空間の信頼感を強め、没入につながる。『D_ELL』はその逆を目指す。『D_ELL』ではインタラクティビティの規則を最後まで隠蔽し続け、よくわからない感じにしたい。プレイヤーの期待を裏切るフィードバックを返し、時として無反応を貫き幻滅させる。そのように無数にささくれだった空間をつくり、プレイヤーに「何このゲーム、気持ち悪っ」と思ってもらうのだ。

最近の自分が感じた「制作スタイルのあこがれ」を、今回の制作でも多少試してみたい。僕はまだUnityを楽しく使えていないと思う。クラスや構造体くらいはどんどん自作していって、一般化して工数を減らす快感を得たい。エディタ拡張もしてみたい。プレイモードで実験ができるようにもしてみたい。Unity自体をゲームのように扱いたいのだ。このように、ソフトウェア自体をハックしながらゲームを作る精神を身に着けて、Death the Guitarの制作に挑みたい。
あとは、先日見たピラルクの陶芸作品みたいに、作品制作で生まれた「カオス」をどんどん入れていきたいと思っている。ボツにしたスプライトや音声を、一部のシーンで使ってみるとか。思いつきで好き放題やっていきたい。僕は結構ゲーム開発の美的方針にミニマリズムを置きがちなので、その真逆をやっていく。小さい作品制作は、実験してなんぼである。
スクラップ・ブックらしきものが出来た。これも作品に活かせたらいいな。寝る。学校は休んでしまったが、意外といい一日になったかも。
ハックの精神でいえば、現時点では忌々しいことこの上ない僕の部屋も、開発の余地があるかもしれない。自室も僕にとってはゲーム開発環境なわけで。Unityでゲームを作ることと、エディタ拡張でUnityを作ることとを相似的にとらえるのと同様に、お部屋も開発作業のために高効率な空間に改造していくべきなのだ。そう思わないか。今は、布団をパージしたためにベッドのフレームだけが残っていて、そこに案の定無数のゴミや衣服が散乱している。さっき、祖母が誤ってそこに置いていた僕のパソコンを踏んづけた。改善の余地はありそうだ。
部屋を整えるなんてことが、僕に出来るかは怪しいが……。意志なく片づけをしても、数日後にはゴミ屋敷になるのがオチだろう。僕なりの狙いをもって、やる。年末にやる。