つくりかたのつくりかた
外国で、運転の荒いバスに乗って揺られていた。バスはくねくねと車線を変え、ときには反対車線に侵入して、ぐるっと対向車を回り込んで避けるという信じられない走行だった。気が気じゃなかったけど、運転手は小慣れた手つきだった。ここではこのくらい大味な運転が常なのだろうな、と半分感心した。日本ではこんな体験できない。
対向車を避けるため、またバスが急旋回して、そのままスピンした。運転手が「オー! ごめんね」と言った。バスはスピンしながら、車道から外れた。え! そのままぐるぐると、駐車場のような敷地へと滑り入った。変なところに入らなくてよかった、と思ったのも束の間、前方の倉庫の前に中年女性が立っていて、叫んでいるのを見つけた。バスを見て、叫んでいるということ? バスがこのまま滑り続けると、倉庫にぶつかる。だから叫んでいる? 運転手はハンドルを思いっきり回した。軌道修正する。甲高いドリフト音とともにUターン。ゴドッ、と変な音が聞こえる。間一髪で倉庫をかわした。よかった。僕は振り返った。先ほどの中年女性が車窓の向こうに見えた。遠くて見えづらかったけど、大丈夫じゃなかった。お腹から血が出て、肋骨が飛び出していた。Uターンするバスの後部と倉庫の壁の間ですり潰されたのだ。大丈夫じゃないじゃん!
バスは横転した。これ、自分で自分の命を守る動きをしないと、死ぬやつなのか。お国柄とかじゃなかった。今は完全にイレギュラーな事故のさなかなんだ。事故に巻き込まれてる。バスはゆっくりと横転、次、逆さまになるから、僕は天井に落下する。この感じだと、首の骨が折れるか頭蓋骨がおし潰される。僕は両手いっぱいで手すりを掴んだ。懸垂の要領で引き絞った。乗客の数人が天井に落下して、だめっぽくなった。さらに横転し、バスは元の位置に戻った。隣の座席に座っていた人は、右手がなくなっていた。でも彼女は、泣きも叫びもせず、次の横転に備えていた。僕もとにかく辺りを見回した。現状の把握に努める。運転手はぐちゃぐちゃになって死んでいた。なんでだよ! さっきまで陽気な鼻歌で運転していたじゃないか。いつも通りの運転じゃないのかよ。口髭で「オー! ごめんね」じゃないんだよ。
2度目の横転が始まった。僕はまた手すりを掴んだ。僕は隣の人を見た。彼女は残された左手だけで手すりを掴んでいた。僕は焦った。片手じゃだめだ。僕がなにか手伝わないと、次の「逆さま」でおそらく彼女は落下する。彼女はごく真剣な表情で、自分の身体を固定する方法を探っていた。ウワー! でも僕が助けようとしたら、僕の生存も危うくなる。いつこうなった。いつからシリアスだった? 突然降ってきた当事者意識と秒読み空間が、僕の判断能力を締め上げた。

起きた。17時。太陽は雀の涙。また、お日さまとすれ違いの期間が始まる。18時に起き上がった。
祖母が油淋鶏弁当を買ってきてくれていた。「あんたのお昼ご飯のために買ったんだからね。それなのにいつまでもぐうたら寝て」と言われた。「いつも僕のご飯のこと考えてくれてありがとう」と言ったら「そうよ、私これでもあんたのこと心配してるんだから」と言われた。僕は「おばあちゃんが僕のことをすごく思ってくれているのはわかるよ」と言った。すると祖母が「あらそうなの? てっきり私、あんたに嫌われてるんだとばかり思ってたわ。安心したわ」と言った。は? と思った。
油淋鶏弁当を食べた。

甘さに頼らない。プールで泳いできた。300メートル、平泳ぎできました。100メートルごとに休みながら、ゆっくりやった。水を掻く手の動きをするとき、ほんのわずかな手の位置の違いで筋トレくらい腕が疲れることもあれば、全く負担を感じずに掻き続けられることもある。疲れるときはそれだけ水の抵抗を作っているため、推進力を出せているってことなのか? でも速度はあまり変わらなかった。推進する気がなかったからかもしれない。300メートル泳ぐことしか考えていなかった。次行くときは、400メートル泳いでみる。息継ぎをして潜るとき、頭頂部が水に浸かるまで頭が沈むときと沈まないときがあって、その違いが毎回わかる。全部が浸かる瞬間に、点で感じる確実な冷たさがあるため。
快活クラブの会員情報が漏洩してしまったらしい。いつもお世話になっております。快活クラブという語を目にした途端、快活クラブに行きたくなった。行きてえ。
ユメギドの開発をする。冷静。

そろそろ、タスクの渋滞をごまかせなくなってきた。31日に完成が間に合わないのは、必至だ。
やるか「延伸」。

広々として気持ちがいいかも。31日に一周分のビルドは作りたい。

気づいたら日にちを超えていて、29日水曜日になっていた。睡眠サイクルが後ろ倒しにずれてきた関係で、今日はほぼ存在しない日になったのだ。
チェックボックスの二次元配列を整った感じでインスペクタ上に表示するエディタ拡張をChatGPTと相談しながら作っている。ゲームではなく、Unityを作っている。ユメギドを作りやすいUnityを作っている。EditorやPropertyDrawerを継承したクラスで、見たこともねえ関数をたくさん使っている。
プログラミングで全然知らない領域を手探りでいじっているとき、マリオ64の城の3階からちびでかアイランドに初めて入ったときの気分になる。クラッシュバンディクー2の4階のばくふん ちゅういほうに入った気分にもなる、あとマリオ&ルイージRPGのデヘヘバレー、ポケモンRSEのトクサネシティ~ルネシティあたり、ダイパならテンガンざんを出てキッサキシティに向かう雪原、時のオカリナのゲルドの谷~魂の神殿あたり、伝説のスタフィー3のワリオが出てくる遺跡、とか……めちゃくちゃ自分の感覚で書いてるな。なんすか、最終盤よりちょっと手前の、今までに歩んできた旅路のそれなりの重さと疲れを感じながらも、新たに見慣れない景色を目の当たりにしたときの感覚。そろそろ終わるんじゃないかという予感とともに訪れるエリアだけど、意外にも場所の雰囲気は物語が差し掛かっているシリアスさを纏っていなくて、そのギャップにぎょっとする感じ。わかるやついる?
コーヒーとバナナを、コーヒーとバナナを、なんだ、コーヒーを飲んでバナナを食べた。プールで泳いでから、ずっと頭痛がする。最近、身体が痛くない日がないな。

ウオー、できた! 5時間くらいかかってしまった。ChatGPTが的外れなコードばかり提案してきて、違うそうじゃないと諭すために僕自身が各関数の定義を引くことになった。おかげで勉強になった。やりたいことをAIに尋ねるために、質問する側の僕が新たな語彙を収集する必要があったのだ。
この実装のおかげで、ScriptableObjectのユメギドのパラメータを調整するとき、僕の頭の中で行われている思考形式に沿う形でインスペクタ上でいじれるようになった。視認性も良い。些細なエディタ拡張だけど、ほんの少しユメギドとUnityが近づいてくれたみたいで良かった(仲人)。
楽しいな!

スケジュール上は、何も進んでない! 驚きを隠せません。エディタ拡張は必須のタスクでもなんでもないからだ。楽しくてやっていただけだ。

少しでもやるべきことをやりたい。「ちょうふく」をやってる。もう朝7時だ。
「ちょうふく」できた。

「ふさぎPre」もできた。
7時半。朝食を食べて寝るか。
新しい横綱が誕生したらしい。就活を頑張っていた頃、マイナビの筆記対策模擬試験を受けた。そこで「今の横綱の名前を答えよ」という問題があって、僕は手も足も出なかった。覚えておくか。今の横綱は、照ノ富士と、このたび昇進した豊昇龍のお二人だそうです。歴代の横綱など、僕は朝青龍と白鵬しかわからない。あ、日馬富士と鶴竜、稀勢の里も知ってるわ。なんで知ってるんだろう。休学中で、実家でだらだらしていた時期だったのかな?
力士は昇進のタイミングの式典で、挨拶の口上に四字熟語を盛り込むノリがある。豊昇龍がこのたび何を言うのか、注目されていた。大関昇進の際は「気魄一閃」と言ったらしい。難しい言葉だ。稀勢の里は昇進時の挨拶で四字熟語を発さなかったらしく、そのときは「稀勢の里、四字熟語なし」とメディアを騒がせたらしい。四字熟語がないことに騒ぐ界隈というのがあるんだな。
このたびトロヤが横綱になった場合、たくさんの「四字熟語」を言います。精一杯、横綱の名に恥じぬ活躍を見せ相撲道の発展に尽力し続けるため、「健康第一」で土俵に挑みます。とりわけ椎間板の「ヘルニア」には注意し、坐骨に重心を置く座り方を究め「骨盤矯正」に励むことを誓います。また、相撲道へただ一心に邁進するため己の心を見つめる「メタ認知」の鍛錬を欠かさず、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」を継続的に服用することで「適応障害」に陥らぬよう「メンタル」のケアに努めます。「物価高騰」が続いている昨今ですので、「ペイペイ」「楽天ペイ」といったキャッシュレス決済を「有効利用」し、相撲界へ少しでも多くの「ポイント」を還元することで、後代へ新たな価値を示してまいります。「テトリス」、「よつばと」。スマホでは「プリコネ」に励みます。「ポカリス」エットを「飲みます」。「飲まない」かもしれ「ないです」。
今日はそんなに心が騒ぐこともなく、結構長時間パソコンに向き合う作業ができてうれしかった。また手前手前のレベルへ作業を引き寄せてしまって、進捗は相変わらずの牛歩だった。でも、ゲーム作りという僕にとって人生そのものの定義となりかねない営みに、ここまで素直に楽しく向き合えたのは、よかった。今日のこの感触は覚えておきたい。
ただ苦しいのは、腰を始めとして、本当に毎日身体中が痛いことだ。今日は頭痛がひどかった。ご飯食べて筋トレかなあ。
もうすぐ10時。寝る。