皮脂 ? おじさん : アイドル

2024 - 08 - 17

バッタみたいな葉っぱ。

この前出産した姉の家に行った。赤ちゃんにはじめて出会った。

赤ちゃんは寝ていた。柔らかいクッションの上に安置されていた。目は閉じているけど、夢を見ているのか、手足はしきりに動いていた。具象のインプットがまだ極めて少ない乳児というのは、どんな夢を見るのだろう。

手と足が、縮小されたように小さい。でもちゃんと指は5本ずつある。すごい。

足が小さい分、膝がでけえ。上腿のサイズは身体や頭の大きさに則していて太い。膝から下だけが異様に小さいのだ。これは歩けないわけだ。

触っていい? と訊いたらいいよと言われたので、脚や、腕や、頬っぺたを触った。なめらかだ。赤ちゃんというのは、この世で最もなめらかな材質なのではと思った。

爪切りはするらしい。生まれてきた時にすでに手の指の爪は結構伸びていたらしい。爪切りするのむずそうだ。

赤ちゃんが目覚めた。目が合った。僕を見た赤ちゃんは、手を「あれまあ」みたいな形にして、僕に向かってキス顔をした。そのあと、顔全体を使ってニョコォッ…と笑った。しばらくすると泣いた。姉が授乳のために抱き抱えて隣室に移動した。

姉と会うのは久々だったが、彼女も変化していた。なんか、あきらかに「母」っぽくなっていた……。身体や話し方や表情が、全体に丸っこくなっているのだ。昔はもうすこしキャピキャピしていたような印象があった。表情が丸いのは、疲れていたからかもしれない。

おっぱいは、1日に16回くらいあげるらしい!? 16回!? 大変なことだ。姉、大変……。おっぱいを飲みながらうんちをすることもあるらしい(赤ちゃんが)。寝ながらうんちをすることもあるらしい。やりたい放題だな。

義兄(赤ちゃんの父)がテレビでHIPHOPを流した。そして赤ちゃんを抱いて、HIPHOPに合わせて踊りはじめた。赤ちゃんは安眠した。

大きくなったらなんの楽器を弾かせようかねえ、みたいな話をしていた。姉はピアノを習っていて、義兄はトランペットを吹いていたらしい。僕は「ピアノやドラムは打ち込みでもなんとかなるけど、ギターは打ち込みじゃ言い訳が効かないから、生収録できるようにギターを習ったら?」と提案した。

赤ちゃんは可愛いけど、可愛すぎるところが問題だ。赤ちゃんのいる場では、赤ちゃんを中心として自分の存在が不可避的に周縁化され、ここにいていいのかわからなくなる。みんなの矢印は赤ちゃんに向いている。できることなら僕が赤ちゃんみたいに周りから可愛がられたい。でも僕はもう、髭生えてるし……すね毛も生えてるし……僕の鼻をつまんだ人は、その手を僕にバレないように服で拭うし……。生きてるだけでみんなのアイドルになれる時代は、とうに過ぎた。僕は叔父になったのだ。

赤ちゃんというものは、存在が強すぎる。

『マイ・インターン』はフォントが適当すぎる。

赤ちゃんと姉夫婦に別れを告げ、家から出た。そして姉とファミレスでご飯を食べた(叙述トリックみたいになってしまったが、僕には姉が2人いて、子供を産んでない方の姉とファミレスに行った)。

そこでお互いが過去に描いた絵などを見せあった。

僕は昔こんなイラストを描いていたのだ。稚拙だけど、狙いが明確でいいな。

こんなのもあった。すっかり忘れてた。面白いね。

へー。ポーズいいね!

ややあざといけど、スカートの捲れ方とか頑張ってますね。

ずいぶん昔のイラストたち。構図を考えるのに手一杯で、デッサンは酷いし塗りまでは頑張れてないな。でも一枚一枚にストーリーややりたいことが感じられていいですね^ ^

なんだか元気をもらった。今の僕はゲームを作っている(いない)が、こんだけイラストに挑戦したぶんもきっと今の創作の血肉になっているのだ。創作に必要なエネルギーがめっきりなくなってしまった今、過去のあまり深いこと考えず描いてみる、みたいなモチベーションで創られた作品をみて、少し気持ちが奮い立った。

ガー

がんばりたいな……。