些些
今、朝8時。寝る前だ。日記を過去形で書く。
今日は16時に起きた。起きて、ひな祭りに関係する和菓子を食べた。

桜が香る緑茶を淹れてもらった。素敵だけど、注いだのがアルカトラズの囚人用ステンレスカップだったから風情が損なわれた。でも、どんな風情もoverrideして失わせてしまうこの無遠慮さこそが、囚人用コップの風情かもしれない。刑務所の食事って意外と行事とか大事にしそう。
はじめは整然としていたパートナーの家だが、ふとリビングの脇の床面を見やると、僕が持ち込んだ物品が散乱しているのに気づいた。僕のバイオームが日に日に大きくなってる。カオスはアメーバのように増殖する。僕は危機感をおぼえ、少し片付けた。ありのままの自分ではいられない。ありのままの自分を放し飼いにすると、それは結果として僕自身の首を絞めることになるからだ。Natureから脱した新たな「余白」のある生活を、ここで実現する。

アンパンマンカレーを食べたらついてきたアンパンマンシールも捨てる。今までの僕だったらこういうのも置いていた。パートナーから手渡しされたものだったからだ。そのわずかな文脈が、判断を鈍らせる。これはごみじゃなくて、思い出の宿った品じゃないかという気にさせる。でも、これからの生活では、この程度のものに思いを馳せるわけにはいかない。残していくわけにはいかない。一応彼に「これ捨ててもいい?」と確認してから捨てた。
食事を終えたらスムーズにPCを立ち上げて、ゲーム開発を始められた。まるで習慣のように、淡々と着手した。ユメギド。

やってるやってる。部屋のパターンを作っている。一つ作るたびに新たにシステムに対応させるための汎用クラスや汎用構造体、汎用メソッドが増えていく。今まで特例として処理していたものを、より一般化して抽象度の高いメソッドを作る。やってれば楽しい。
外が冷えているためか、暖房をつけても書斎の室温が17℃台になってしまった。腹巻きをつけるようになったとはいえ、寒い。できれば室温は20℃以上欲しかった。サーキュレーターの配置や角度をちょこちょこ変えて暖気のかき混ぜかたを試してみると、18.7℃くらいまではもっていけた。しかしそこから上が難しく、夜が更けて外気温も下がっているのもあり、暖房のほうを強めざるを得なかった。風量と温度をあげて、風向を「スイング」にしてエントロピー増加を目指した。0.1℃ずつ着実に増え、19.3℃くらいでストップした。
アニメ『全修。』面白くて見てる。面白くなさも同じだけあってヒヤヒヤするけど、えも言われぬ魅力がある。バンクが美しくて、いつも嬉しい。鉛筆削りのカットめっちゃ好き。
晩御飯を食べてからすこしだらけてしまった。でも、諦めずにもち直した。
ちびまる子ちゃん116話「永沢君の家、火事になる」が期間限定で無料配信されていたので見た。「家が全焼したことがある」という変な加減のキャラクター設定を付与されている永沢のエピソードゼロ。大船渡の山林火災を受けて、啓蒙的な意味合いで配信されたのかな。それにしてもさくらももこはすごい。陰湿な性格のクラスメイトを置くにしても、わざわざ「家が火事で燃えた」という過去を与える必要はない。永沢自体すごく登場頻度が高いわけでもないし。しかしそれが、すごいですよね。微妙に触れにくい笑っていいのかわからないパーソナリティをつけつつ、事態の重さのわりにはさほどそれに焦点を当てない気味悪さ。そういう変さを、作品世界に野放しにしている。さくらももこ。
全然どうすればいいかわかんない課題に直面し、パートナーに相談を持ちかけた。しかし鼻血を出しながらFactorioをやっていた彼は、あまり僕の応対をする余裕がないようだった。僕はなんでもかんでも彼に頼りすぎだと思った。ChatGPTに尋ねて済むことなのに、わざわざ人に訊いてしまう。それは僕が安心を得たいからだ。僕が課題を抱えるとき、課題があることに対するメランコリーも同時に抱える。AIの伝えてくれるシステマチックな課題解決の最短経路だけでは解消しないメランコリーを、僕は他者を利用して解きほぐしてもらおうとしている。こういうところが、成熟しきれていないと感じる。
数度手が止まって、何をしたらいいのかわからなくなった。そのような時は、筋トレしたり換気したり誤魔化した。筋トレはやるだけ良いし、換気はしないと酸欠で頭が鈍る。とにかくウゴウゴする理由を見つけて時間を稼いだ。重要なのは、横にならないことだ。寝そべってしまうと、魂が戻ってこなくなる。バランスボールもあるし、スタンディングデスクもあるから、それらと常にいちゃいちゃして、血流を巡らせておいて、体が自然とライフワークを再開するのを待った。そのような感じで、止まったり動いたりを繰り返しながら朝7時まで、結構長時間作業をした。室温は19.5℃くらいで動かなくなった。
幻聴なのかわからないが、ずっと遠くで小さくゥゥン、ゥゥン、ゥゥン、ゥゥン、と聴こえて、不安になった。一つ一つ電化製品や換気扇をつけたり止めたりしたけど、サーキュレーターかな……? 風量を2以上にすると、なにやら不規則な音が出る。あと、こっちは幻ではなく、嫌な臭いがした。なんか、たまに女性の髪の毛から漂う臭いだ。これはおそらく「スイング」にした暖房の風が室内干しの衣服の匂いを連れてきているのだろう。あるいは、フィルターのカビがそもそも? うーんわからない。まだここは他人の家だなと感じる。

卵かけご飯、ご飯の再加熱を待っている間に卵と醤油をあらかじめ準備しておくようになった。どんどん最適化されてきている。
食べた。寝る。明日は午後から関東平野部でも雪が降り、積雪が見込まれるらしい。『鬱ごはん』で降り積もった雪をばくばく食べる回があって最高だった。
ネリ。