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2025 - 03 - 21

11時頃に目覚め、寝そべったまま中学時代の恩師の経歴を調べ始めた。30分くらい使ってしまったけれど、このまま興味を野放しにしてスマホいじり続けてたら昨日の二の舞になると思って、起きた。水を飲む、電子レンジで温める、薬を飲む、一つ一つの動作に集中して行動した。今日はさっさと散歩する。帽子をかぶって玄関扉を開いた。散歩中に掃除しておこうと思い、アプリでルンバを起動した。

家を出たはいいものの、どの方面にも歩く気が起きなかった。散歩ルートを提案してくれるアプリを調べた。

「散歩道提案くん」と、その他散歩に関係しそうなアプリをインストールしてみた。散歩道提案くんを開いてタップすると、音声アシスト付きのルート案内が開始した。僕は散歩開始するかと思い、立ち上がった。それまで座ってたのか。玄関扉にもたれてしゃがみ込んで、ウォーキングアプリを吟味していた。昨日の二の舞になるってば。

散歩道提案くんが提案してくる散歩道はなかなか荒唐無稽だった。出発地と目的地が同じであること以外はまるで秩序がなくて、一度南に行ってからすぐ北に戻って、住宅街の細い路地を執拗に右左折し(距離調整のためと思われる)、線路の周りをうろちょろして、また南に戻って……みたいな。

おかげで、自分の判断では行かないような道を辿れて楽しかった。下手に魅力あるスポットや主要な道路を使うよりは、風情を解さないアルゴリズムが弾き出したでたらめな提案に乗るほうが、こちらとしては歩きでがあった。

でも途中でアンインストールした。提案された道から外れると、それ以降案内が完全にストップしてしまったからだ。ルートの再編成などは行われなかったし、ルートに復帰しても外れた地点まで戻らないと案内は再開されないようだった。脱線は一切認めないつくりらしい。キビシー。

帰宅した。

リングフィットアドベンチャーした。「今日はこのくらいで終わりにしませんか?」とゲーム側から言ってくれるのでありがたい。早く適切な筋肉をつけて腰痛に別れを告げたい。

散歩と筋トレができた。しかもまだ14時くらい。素晴らしい初動だ。あとはユメギドの開発をするだけなんだが。めっちゃやりたくない。ソファやベッドに身を任せると終わる。バランスボールでうじうじしたり、出まかせのストレッチをしたり、立ったまま本を読んだりして、いつでもパソコンに立ち向かえるような態勢のまま機をうかがった。機をうかがってる間に、アフターダーク読み終わった。次は、村上春樹が地下鉄サリン事件の関係者に対しておこなったインタビュー集『アンダーグラウンド』を読もうかなと思った。本棚のアフターダークの隣にあったし、地下鉄サリン事件が起きたのは30年前の今日だし。

機を見つけて、ユメギドの開発に取りかかれた。絵作りは後回しにして、ラストシーンの遷移を実装した。それに伴う変数の整理などもおこなった。ラストシーン周りをやっているからといって、開発が終盤に差し掛かっているということではないです。いつ終わるんだこれって感じです。

今日はそのような感じだ。昨日より良い日だった。昨日の僕とは違った。自分の興味や行動を自覚し、すこしだけ制御することができた。自分に完全に振り切られることはなかった。でも肝心のユメギド開発に取りかかるのは遅すぎたし、作業時間も1時間足らずといった感じで、ダメダメであったことには変わりない。

寝る。寝る前にNHKでオウム真理教の特集を見た。

地下鉄サリン事件のあと、警視庁が上九一色村のサティアン(オウム真理教の施設)を強制捜査したとき、捜査員はガスマスクを装着していた。どんな種類の有毒ガスが散布されてもおかしくない状況だったからだ。さらに捜査員は、カナリアの入った鳥籠も携行していた。毒物をいち早く検知するために、生きたカナリアを連れ込んだのだ。比喩じゃなく、本当に炭鉱のカナリアとして使われたんだな。30年前はそんなことしたのか。カゴの中の止まり木に大人しくしている一羽の黄色いカナリアが、ガスマスクの人間によって施設内部へ運び入れられる映像を見てぞわぞわした。カナリアも小っちゃいガスマスク着けたら良かったのに(何が?)。

特集を見て知ったことは、オウム真理教が計画していたハルマゲドンは、本当に紙一重で食い止められていたということだ。オウム真理教が水面下で着々と進めていた軍備増強に対し、警視庁の警戒レベルはそれに追いついていなかった。いくつかの目立つ事件がたまたま警視庁の注目を引いたために強制捜査が行われたけれど、少しでも条件が違ったら、オウムは地下鉄サリンを実行せず、代わりにもっと計画的なヤバイこと(ヘリコプターから都心に毒ガスを散布するとか)を11月にしていた。その可能性は、じゅうぶんあった。

寝る。