12時に起きた。外で神輿を運ぶ音が聞こえたので、様子だけ見に行った。神輿が運ばれていた。
作業場に行けず。いつのまにかまた寝てた。18時に起きた。寝すぎ。
起きてからずっと「作業場に行こう」というタスクに挑戦し続けていたから、いっさい他のことをしなかったので、ただ何もしない時間が伸びていた。そうなると自然に体は寝そべって、眠りに落ちる。

フーリエ級数展開というのをやった。マクローリン展開の周期関数バージョンと考えたらいいのか。関数を無限級数で近似しようという理念は、高校数学のときにはなかった新しい考えかただなあ。展開の各項の係数は、マクローリン展開では微分を繰り返すことで得ていたけれど、フーリエ級数展開ではなんか特殊な三角関数の積分を掛け合わせて、目的の係数をもつ項以外を、都合よく0にすることによって得られる。なぜこんなアクロバティックな操作が思いつくのかわからないけれど、そういうものだと受け入れるしかない。加法定理や円の面積だって、自力で思いつけたわけではない。初めからずっと先人の肩の上に乗っている。
今日も何もできなかった。昨晩やろうと書いた通りにはいかなかった。
21時頃からAnimal Wellの続きをやった。めちゃおもろいー。進行度を厳格に想定しないおおらかなつくり。マップ表示の正確さ。水没がノーダメージ。必須のアイテムと、あると便利なアイテムの区別のなさ。初めは背景とみなしていたオブジェクトから、のちに法則が見出されていく感じ。やってたらエンドロールにたどり着いた。良かったな……。
5年前の2020年9月14日の自分からメールが届いていた。びっくりした。ちゃんと忘れてた! 僕は5年後の自分にメールを送信するWebサービスを一年おきに利用していたのだけれど、それをやり始めたのが5年前の今日だったのだ。ついに過去から受信するフェイズが始まった。今後は一年おきに、5年前の自分からメールが届くことになる(去年ついにさぼったから2029年は届かないけど)。
メールを読んだ。まず開始から、大量の固有名詞が書き連ねられていた。関係のある人とか最近読んだ本とか行った場所について、とりあえず思い当たるものをすべて書いたのだと思う。
そのあと、このように書いてあった。
【現在の状況】
漫然と不幸・死にたい気持ちが薄ぼんやりとある・恋愛で傷ついたものは癒えつつある・将来不安・人と話すときに現れる社会のイデオロギーに心を潰されかけている・多くの人に行間で否定されている感触がある・つらい・引越しを控えてダラダラ京都に残って読書している・これは幸せ
「漫然と不幸」とのこと。2020年の僕は休学中で、京都で毎日何もしていなかった。将来が不安で、今よりも対人不安が強く、あと失恋もしていた。
続き。
【5年後の自分に対して】
幸せになってるといいな。何か作品は作りましたか。恋人はいますか。2020年9月の僕はとにかく自分に自信がなくて(去年まではまだ少しはありましたし、高校時代は自信に満ち溢れていました)、これからそれを取り戻すために努力をするつもりです。それが上手く行っていることを祈ります。でも5年後の僕にはあまり関係ない範囲のことかも。今の僕の思考はとても危険で、何か自分で作り出したイデオロギーや自尊心の防衛のためにあまりにも簡単にねじ曲がるようになっています。だから今僕が考えていることを僕自身あまり信用していません。だからなんだと言うことはないんだけど、とりあえず今の僕はこういう状況です。未来の自分に幸せになってるといいなと言うのは、一般化すると永遠に未来に幸せを託し続けるひどい構図になりそうな気がしたので、撤回します。何も願うことはないです。作品を作っていなくてもいいし、恋人はもちろんいなくてもいいし(現段階ではあまり自分に恋人が作れる気がしていない)([失恋相手]よりもいい人は現れた?)。ひとまず僕が幸せになるために、ひいては創作で成功するために、今は何か誇れる技能を一つ持つことが有効だと考えているので、そのためだけに生活の要素を減らして、それだけに努力を傾ける(受験勉強の成功を模倣しようとしています)ということをしようと思います。今のところとりあえず絵が上手くなりたいので、これから東京でフリーターをしながらそれをやります。ちなみに今の僕の絵は全然上手くないです。大きなそろばんを動かしている女の子の絵わかる?それを最近描いた感じです。この計画に則ると5年後の僕は超絶絵が上手いということになりますが、いかがですか。なっていたらめちゃくちゃ褒めてください。なっていなくてもあまり責めないでください。うん。あまり自分を否定しても仕方がない。あー。わからない。未来の自分に何を言えばいいのかわからない。5年後の自分がどうなっているのか全くわからない。とりあえず、とりあえず、今僕は作りたいゲームがあるので(なんのことかわかるかな?)、5年後の僕にはそれがどうなったのか、完成したのか、投げ捨てたのか、別の形になったのか、保留したのか、その辺を聞いてみたいです。これを読んだらさらに5年後の2030年の自分にメールを書いてください。
当時は恋愛で傷ついていたのと、クリエイターになりたいという思いが強かったのがわかった。つくりたい作品の構想が浮かぶばかりで、このときからとにかく手を動かせない自分だった。大学に行けてないのもそうだし。挫折続きで自己肯定感・自己効力感みたいなものが全然ない。
「今僕は作りたいゲームがあるので(なんのことかわかるかな?)」は、心当たりはあるんだけれど、今思い出してるやつがそれなのか自信がないな。もしかしたらそのアイデア、ゲームにせず脚本にして書いたかもしれないです。
不幸の自覚があると「幸せになるためには〇〇を達成すればいいんだ」という条件つきのサクセス幻想(僕の場合〇〇は創作をすること)が生まれる。それはすぐに「〇〇を達成しなければならない」と自らに言い聞かせるかたちの呪いのテーマになる。その義務感のなかではさらに挫折が強調されて、失敗が自罰的なメンタルに跳ね返って、不幸の自覚がより深まってしまう。負のスパイラルだ。2020年の僕はそれに囚われていた。
続き。
このメールを受け取ったあなたはもしかしたらとても辛い状況かもしれないけど、辛い気持ちは本当にわかるから。僕はあなたの味方ですから。そしてもし辛くない状況、むしろ幸せな状態だったら、お願いですから、5年前の不幸な僕のことを思い出して、全力で噛み締めてください。
お元気で過ごしてね。
2020年9月14日の自分より
自分……! 今の僕は自分が幸せかそうじゃないかというのをそもそも考えなくなったけれど、このメールを読んだら少なくとも、5年前よりかは良い状態にあるなとは思った。それを噛み締めてる。このメールを書いた人が囚われている観念のいくらかを、今は解体できてる。思い込みの自覚と、その解体の繰り返しで精神強度は高まっていく。
お元気で過ごしてねとのことですが、残念ながら今の僕はお前より確実に体力がなく、身体的には不健康になった。腰痛あるし。5年前はバイトをしてたからな〜。そうだ、身体鍛えないと。運動。Switch2が来てからSwitch初代機をしまっちゃって、そのせいでリングフィットやらなくなった。
最近もしょっちゅう暗い気持ちになってるけれど、2020年の自分のこんがらがりようを見ると、5年やそこらでこのメンタリティが全部解決することはないよなと思った。ちょっとずつほぐしていくしかない。失恋などで心が傷ついたときは、それが癒えるまで、しっかりと傷ついている期間が必要なんだ。
2030年の自分にも、メールを送るか。めんどくさいが、受け取った側としては存外に嬉しいものである。。。
30分ほどバャーッと書き殴って、5年後に送信した。日記に晒されないよう、プライベートな内容に重点を置いて書いた。未来の自分が何をしているのか、ぜんぜん想像つかないな。僕は今年で26歳になるから……3055年には1,056歳になってるってこと!? ぜんぜん想像つかない。
Switch初代機を出してもらった。リングフィットアドベンチャーやるのだ。お元気で過ごすために。モモアゲアゲ。リングフィットアドベンチャーやった。リングフィットアドベンチャーで運動することが作中では「リングフィットネス」と呼ばれていることを初めて知った。
8時59分。パートナーが朝からナイトレインやってるのを横で見ている。gaiaという名前の味方が利敵行為している。Animal Well良かったな。次何しよう。SEKIROで久々にたくさん死んで、たくさん死ぬゲーム好きの血が騒いだ。Cupheadやる? 昔一度クリアしたのだけれど、改めて初めからプレイするのもいいかも。DLCは未プレイだし。死にゲー欲を満たせる未プレイのゲームで、Cupheadに相当する作品が思いつかない。Hollow Knightやったことないし、やっておくといいのかも。でもAnimal Wellをやった直後で、メトロイドヴァニア形式への疲れが。Nuclear Throneもやったことないし、やっておくといいのかも。Enter the Gungeonは面白かったけど長続きせずやめた過去がある。今はランダムの時期ではないかもしれん。求めている難しさの質がそれぞれ異なる。ランダム性のNuclear Throneをとるか、探索のHollow Knightをとるか。
理想に適うゲームがないからDeath the Guitarを作るのか。「自分の性癖を満たす作品がないから自分で作るしかない」というのは創作論としてよく聞くやつだ。これって本当かも。
そうか。僕には「こんなゲームをやりたい」ってのがあるのか。自分だけのニーズがあるんだ。その発想を思い出した。作りたいゲームは、やりたいゲームなのか。大学一年でDeath the Guitar制作し始めたあたりから、そのことを忘れていた。プレイヤーとしての自分を忘れていた。
なんか今感動してるかも。