うろんな嘔吐者

2025 - 09 - 29

12時に起きた。

パートナーがお土産に買ってきてくれたバウムクーヘン。3Blue1Brownのロゴみたい。数学の練習問題やってたせいで、バウムクーヘンを見ると「積分…」と思ってしまう。

このギザギザの波も、フーリエ級数展開すれば

計算することができる。三角関数を無限に足していくことで、上のギザギザ曲線を「eのx乗を周期的に並べた関数f(x)」と言葉で指示する必要なく、一本の数式で表せる。

関数グラフで近づいていく様子を見てみる。上はk=1。

k=2。

k=5。

k=20まで増やすとだいぶ近づく。途切れ目の不連続点は、どうしても実際の振幅よりも若干でかくなって飛び出てしまう。ギブス現象というらしい。

ぼちぼちシャワーを浴びた。髭を剃って家を出た。

今日はkさんとtさんとnさんがご飯に誘ってくれていた。4人で食べ飲みした。kさんとtさんとはゲームの関係で仲が良かった。nさんはkさんやtさんと一緒に活動されたりしている方で、僕とは初対面だった。エネルギッシュな人で、優しく接してくれた。

4人で卑猥なことを話した。みなさんには想像のつかないような、卑猥なことをね。でも急に真剣なゲームデザインの話になったりもした。tさんはとくにモチーフに固有の特性とメカニクスが共存するようなシステムにこだわりがあるように見えた。卑猥な話題をしていても、卑猥に対して真剣に考察を深めたりアイデアを出したりしていた。「僕は、僕が面白いと思うものはみんなも面白いだろうって思ってるんで。そこの審美眼には自信があるんで」と言っていた。

kさんは遊び手の目線で何が起きるかを考えながらつくることがゲーム作りにおいては本質的なことだと話していた。「僕昔小さい頃、迷路とか書いてたんすよ。学校に持っていくと結構みんな『すげーっ』って反応してくれたんですよ。次第に作るのに凝ってきて、どんどん複雑な迷路になっていくんですけど。ただ複雑になるだけだとどうなるかっていうと、みんな遊んでくれなくなるんですよね。そこで、どんな迷路にしたらみんな遊んでくれるかを考える。やる側にどういう驚きを与えられるか、遊びたいと思わせられるかっていう風に考えて工夫をしていく。これがすでにゲームを作るってことなんすよね。ゲーム作りってなるとプログラミングどうするって話になりがちですけど、そんなことよりも大事なことです」というふうなことを言っていた。

それを聞いて、小学五年生のときのことを思い出した。僕も昔は迷路を書いていた。伝統的なグリッド式の、愚直に難しい迷路を書いていた。複雑になっていった。五年生のとき、新しいクラスメイトに同じ迷路製作者が現れた(そいつは僕と誕生日も同じだった)。彼の迷路のほうが、僕のより人気だった。僕のひたすらにカクカクした迷路とは違い、彼の迷路は小腸みたいにうねうねと蛇行するエリアや、広い部屋のなかに散らばった星型や十字型の壁をかいくぐるように進んでいくエリアなどがあって、キャッチーだった。それはユーザー目線のゲームデザインとして優れていたということだったのかもしれない。

僕は彼に対して嫉妬と怒りを感じていた。僕からすると小腸エリアはただの一本道だし、星型の壁には顔なんかが描かれていたりしていて、関係ないオモシロで点数を稼いでいるように見えたからだ(そもそも迷路の中に星や丸などの閉曲線が壁として存在することが、当時の僕には何らかの教義を犯しているように感じられて受け入れられなかった)。分岐もほぼなくて、オイオイそんな軟派な構造ではとても迷路とは言えないぜ、と横目に思っていた。でも今思えば、彼の迷路は指でなぞって道を進んでいくという体験の面白みを最大化していた。それが僕の迷路ではなく彼の迷路のほうがクラスメイトたちに選ばれて遊ばれた理由だった。

nさんは顔が二宮和也に似ていた。全体の骨格と口の形と動かしかた、および「いやぁ〜…」みたいに首を傾ける挙動がニノに似ていた。「nさん顔がめっちゃニノに似てますね? 言われませんか?」と指摘すると「いや僕ニノではない」「東南アジア顔って言われる。僕の顔は日本人じゃないみたい」「アリクイに似てるって言われる」などと堅く否定された。「エ? 絶対に似てますよ。(tさんとkさんに同意を求めて)似てますよね? 僕8番出口見たんで」「いやぁニノには、似てないかな」「似てないですよー」僕は信じられなかった。

あのとき、ちょっと場の空気を悪くしてしまったかもと緊張した。人の容姿についてみだりに言及したのは良くなかったかもしれない。「〇〇に似てる」って、言われるほうからすると嬉しくない。僕としてはまったくのニュートラルな気持ちで、ただnさんの顔が致命的に二宮和也に似ている(その事実が面白い)という認識は共有せずにはおれず言ったことだった。思ったより誰からも共感を得られなくてびびった。異変?

無意識にストローに割り箸挿していたら、tさんが同じことをしてくれた。回していた。「回転軸が二つあって機構になってますね」と感心していた。

すけべな話や野望の話をしていたら閉店時刻になった。たくさん話したな。店を出た。

駅にゲボあった! 偏ったものを食べている。細いのはピザのチーズ? 麺類っぽくもある。うどんかも。

ChatGPT的には「🍜ラーメンや焼きそば、うどんなどの麺料理」とのことだった。

しかもすぐそばに歯ブラシと歯磨き粉が捨ててあった。この人ゲロ吐いた後にその場で歯磨いたのか? 几帳面な性格。

帰りの電車はkさんと二人だった。電車や駅が好きかどうかみたいな話をした。kさんは青春18きっぷで東京から大阪まで行ったことがあったらしい。途中で関ヶ原を通ったらしい。彼は電車の乗り換えなどは嫌いらしいけれど、東急電鉄ののるるんが好きだった。

のるるん可愛い、のるるん可愛いすぎって言ってた。

僕は自分に関係ないとこで世界が進行しているのが好きなので、それを強く感じられるから電車が好きなのかもしれないですと言ってみた。電車に乗ってるのが好きだから、降りるのが辛くて、昔何度か目的駅で降りられなくて、終点まで行ってしまうことがあった。

kさんが降りる駅でお別れして、電車に一人になった。その後、自宅のある駅から三つ前のまったく関係ない駅で間違えて降りてしまった。自分でも意味不明でびっくりした。なかなか電車から降りれないって話をさっきしたばっかなのに。何を考えてたんだろう? 幸い終電は残っていたので、次の電車に乗り直して帰った。

帰宅した。パートナーがぶどうの入った容器に卵を一個ねじ込んで収納してて面白かった。新シーズンのアニメをひとつ見た。P.A.Works『永久のユウグレ』。なんか不気味なアニメだった。続きが気になる。

腰が痛くなってしまった。ウー。

寝る前に懲りもせず数学の教科書進めた。複素フーリエ級数の表現を学んだ。

寝た。