寝つけなかったので、勉強したり、自転車のタイヤに空気を入れたりした。あとずっと返信を怠っていた連絡をいくつか返した。一人、メッセージをもらってから1ヶ月経っていた人がいて申し訳なかった。
8時になっても眠れなかった。しかたないので、寝て起きてから行こうと思っていた市役所に、このまま寝ずに行くことにした。

金属の板。
そういえば多孔性金属錯体で北川進さんという方がノーベル化学賞獲ってた。ジャングルジム型の構造体で、さまざまな性質の物質をより分けて回収することができるらしかった。素人にはわからないけど、すごそう。
今までは多孔質といえば活性炭が使われていたけれど、これは穴の大きさが不均一だったので運用に限界があった。それに対し、有機物と金属を合わせて作られた多孔性金属錯体は、穴の大きさが均質で、しかも電荷もコントロールできるらしいので、色々と効率よく回収できるようになるようだった。
市役所に来た。障害者手帳を発行してもらった。何ヶ月か前、医師に、自分も手帳って取得できるんですか? と尋ねたら思ったよりもあっさり申請できた。そして今日受け取れた。貰えるなら貰っておいたほうが色々とメリットがある。僕の精神障害3級という等級では、都営電鉄や都営バスに無料で乗れるようになるし、あと現代美術館とか都美術館に無料で入れる。映画も安くなる。

スティグマ的な不安はあるかもしれないけど、障害者であることの申告義務などはないので、例えばブログに書くなどして自分から明かさない限りは雇用上で不利になることはない(年末調整で障害者控除を利用するとばれるらしい)。僕は人に知られることなど気にしない。一生懸命生きてんだから、自分に恥じることなんて何一つないんだよお。

眠くてふらふら。帰った。寝た。
19時に起きた。
『物理数学』また一つ章を終えた。次は第3章「微分方程式の解法」ずっと微分じゃないか。
微分方程式ってパズルみたいだ。漸化式を思い出す。というかそうか、関数と数列がそもそも連続↔︎離散のアナロジーで対応関係にあって、微分方程式は漸化式の連続バージョンみたいなもんなんだね。連続の積分が離散でいうシグマに相当して、連続の微分は、何、公差? 差分? にあたるのかな。
明日椅子届く。ワンダンスのアニメ1話見た。ブルーピリオドがアニメ化されたときと同じきな臭さをおぼえた。ワンダンスもブルーピリオドも、原作漫画は素晴らしいんだけど……話は最高なんだが……! って感じだ。ワンダンスはダンスがテーマなだけあって映像化するのに表現的な障壁、というより越えなきゃいけないハードルがあり、それがシビアだよね。
5時間17分あるでお馴染みの映画、濱口竜介監督『ハッピーアワー』を見た。めっちゃ良かった……。諸相がある……! と思った。世界のさまざまな現れかたが描かれている……! 5時間17分でも足りなかった。なんか人物配置が完璧で、ロシア文学みたいな構築を感じたな。各人物がだんだんと複雑さやままならなさに直面していって、あかりがシンプルじゃなくなっていったり、鵜飼や公平のような初めは対極的な位置にいた人物たちへの光の当てかたが変わっていったりしていく過程が美しかった。『悪は存在しない』でも思ったけれど、ワークショップとか座談会みたいな現実で実際にアレンジされるような場に対して、あまりカメラ的には介入せず、起こっていることをまるまる収めてシーンにする手つきが独特で好きだ。
8時20分。一日のほぼ四分の一を使わせてくる映画ってすごいな。でも本当に見て良かった。もっとこういうの早く見ておきたかったって映画が、世の中にはたくさんあるな。僕は21歳まで本当に幼かった。21歳からこういうの見て、取り戻すように急速に大人になっていってる。
小さな(やがて大きくなる)用事があって、今から大学に行く。椅子が夕方に届くので寝られません。
職に貴賎はないなんて嘘だ。資本主義下の人間は放っておくと、コンサルや広告や証券トレーダーみたいな、仕事のための仕事みたいなメタ仕事ばっかり作ってしまうんだ。そうやってぽこぽこ生まれて際限なくメタ化して、しかもエリートだけのものになっていく人造仕事が、農家や看護師やお弁当屋さんと肩を並べられるほど尊いものだとは、僕には思えない。実際に広告代理店に勤める人々を批難したいわけではない。ただそのような仕事は、やってることが人間の手に負える範囲を超えてるんじゃないかと思うのだ。人間の手に? 自信がない。少なくとも、僕の手には……。
僕が人間じゃないのか、人間が人間じゃないのか。そのどちらかだ。
僕は今日障害者の認定を得た。障害者は行政的に定義された人間だ。つまり僕は人間だ。だから、人間が人間じゃない。