シリコン・バレーのクォーター・パウンダー

2024 - 09 - 12

ん、なんかどこだここ。

Spotifyで音楽をかけながら寝たので、プレイリストのうち聴いた記憶がなくなった曲の長さを足せば、飛行機でとった睡眠時間の長さがわかった。25分だった。

大地が見えてきた。

飛行機を降りた。入国審査は長い列ができていて、空港を出るまでに長い待ち時間がかかりそうだった。あまりに長かったためか、列の目の前にいた身長180cmくらいの男の子がゲボを吐いた。僕はそのゲボを踏まないように、飛び越した。

入国審査を突破し、サンフランシスコに着いた。寒!

気温は19℃だった。

カリフォルニア州のサンフランシスコは地中海性気候で、夏場でも最高気温は22℃だったりする。最低気温も5℃を割ることはない。過ごしやすすぎる。東京と比較した雨温図を見ると、日本がいかにばかげた気候をしているかがわかる。

19℃なので暖かいという方が適切だと思うけど、なんかめちゃくちゃ寒い。雲が日本では見たことない形をしていて、嬉しかった。

ここは、正確にはサンフランシスコではない。シリコンバレーだ。宿はスタンフォード大学の近くにあって、今日はそっちへ行く。サンフランシスコは明日以降行く。

意味不明な現地のSuicaみたいなやつを買って、意味不明な電車に乗り、意味不明なバスに乗った。

カリフォルニアのバスは2台がムカデ人間のように接合されていて、長い。そしてくそ揺れる。

自転車も載せられる。バスだけでなく電車にも、自転車を置くスペースがあった。自宅から自転車で公共交通機関にそのまま乗り、向こうで降りてからまた自転車を漕ぐという通勤通学の形態もありそうだった。馬に乗ったままエレベーターに乗る映画『トゥルーライズ』を思い出した。

バスの停車はボタンを押すのではなく、紐を引っ張ることで伝えるみたいだった。バスは本当に揺れてうるさい。許せない。

歩行者用信号。「手形の点灯」が赤信号、「手形の点滅」が黄信号、「歩行者マークの表示」が青信号を表すようなのだけど、歩行者マークになっている時間が2秒もなくて、ほとんど黄色の時間なのが解せなかった。青が短すぎて、写真を撮れなかった。歩行者マーク表示の時間は「歩行可」というより「歩行開始!今すぐ歩け」みたいな扱いなのかもしれない。

道路が本当に広い。左右4車線ずつくらいある。スケールが違う。空が広くて、こんなに嬉しいことはない。あと公衆トイレの個室が下からも横からも丸見えだった。

熱がぶり返した。まぁこうなる気はしていた。扁桃腺の痛みがつらいのと、めまいで倒れそうだった。身体が軋むので、発熱していることもわかった。寒かったのは、熱だったからかもしれない。海外で体調不良。そういえば、今年のはじめに台湾に行った時も、僕は高熱を出していた。

早く寝るべきだと思った。

さまざまなことを諦め、マクドナルドに行った。でも、マクドナルドにも一応行ってみたかった。「本場アメリカサイズのでかいマクドナルド」というよく聞くやつをこの目で確かめたかった。クォーターパウンダーを注文した。

店内はがら空きだったが、ベトナム語?で故郷の子どもとビデオ通話しているおじさんや、ウーバーイーツの配達に来ているおじさん、ノートパソコンで作業をしているクリエイティブっぽいおじさんなどがいた。すこしアメリカっぽいと思った。それぞれが、自分の力で生きている感じがした。空席は多かったが、ほとんどのテーブルがベチョベチョに汚れていたので、実質座れるところは限られていた。アメリカっぽい。

運ばれてきたクォーターパウンダーは、日本で食べたクォーターパウンダーとほぼ同じ大きさだった。というか、同じだった。たしかに「クォーターパウンダー」と名前で量が定められているのだから、アメリカと日本で違うわけがなかった。アメリカンサイズに驚くのが目的だったら、「ビッグマック」のような定性的な名前のバーガーを頼むべきだったのだ。

でもコーラMサイズは信じられないほど大きかった。これでいいや。

シャワー浴びて寝よう。明日以降のために。

宿に着いた。『フロリダ・プロジェクト』みたいなモーテルだった。最高! 『ノーカントリー』で殺し屋につけ狙われる場所っぽくもある。さらにいえば宿まで歩く夜の歩道は『ゲット・アウト』序盤で襲撃されるシーンみたいだったし、アメリカはとにかく、どこもかしこも映画っぽい!

シャワーの水圧が終わっていた。こんなもの、水漏れと変わらなかった。いっそ出ない方がましだった。でも宿泊先のシャワーがろくでもないというのは、それはそれで旅の醍醐味という感じがした。

寝る。体温は37.0度と微熱程度に落ち着いてきていた。でもとにかく寝るんだ。

寝る寝る寝る!