アダルトなチャイルド

2025 - 12 - 21

今日はお友達のシさん、テさん、ワさんと4人で『ズートピア2』を見る。

昨晩全然眠れなくて、布団のなかでひたすら映画の展開を予想してた。

結局2時間ほどしか眠れなかった。8時半に起きた。

電車に乗った。行きの電車で一緒だったテさんが、駅のホームの上り階段の入り口にあった案内表示の矢印の意味を、誤って解釈していた。

この曲がった矢印は、ここでは

絵のように「この階段ではなく一つ先の階段を利用せよ」という指示だったのだけれど、

テさんはこのように単に「上階へ行け」という指示だと解釈していた。矢印の縦棒を、高さの表現と感じたらしい。

それを聞いて、確かにテさんのような解釈もありだなと思った。案内表示板で使われる矢印は、どうしても現実より一つ小さい次元で表現しないといけないので、指示を一意に定めるのは難しそう。単なる「↑」があったとして、それが「上向き」を指しているのか「奥向き」を指しているのかもわからない。ましてや上り階段のところにある「↑」は、どっちの意味にとっても同じ結果になる。そこで「↑」の指示方向を「上」と学習してる人と「奥」と学習してる人が割れていそう。

な。

知らない街の映画館に着いた。家族連れがたくさんいた。入場の列に並んでいるとき、ワさんに「僕もう子供と一回見たから内容知っちゃってるんですよね。ニックもジュディも出てこないです」と嘘のネタバレをされた。

『ズートピア2』見た。面白かった。3秒にひとつくらいユーモアがあるような高密度のCGアニメが好きで、ズートピアもその手のものだった。あとニックがジュディのことを「にんじん」と呼ぶのが好きだった。僕も人から「オイ、なめろう」と呼ばれたいな。

シテワさんとあとで話して共感したけれど、主人公のジュディはあまり納得いく言動をしない。『ズートピア』の物語は正義感が強くて突っ走るタイプのジュディと、皮肉屋でニヒリストなニックという凸凹コンビがタッグを組むという構図だと思うけれど、我々からすると、ニックの言動はわりと常識の範囲内だった。ニックはただのいい狐に見えて、ジュディの多動さや周りの見えてなさが一方的に非常識に映った。これはきっと、大人と子供で共感できる位置が違うのだろうな。子供の観客からすると、ジュディは標準的な主人公で、ニックは彼女の行動になかなかコミットしようとしない怠け者のように映っていたのかもしれない。

下の段落ネタバレ

パウバートが、自身の策略を暴かれたあとはヴィランとしてわりとあっさり断罪された感じだったのが嫌だった。彼は毒親に育てられたアダルトチルドレンで、その精神が由来で悪事を働いたという重要なパーソナリティがあったわけで、そこにはもっと描きしろが残っていた。

僕はワさんとは初対面だった。ワさんは帽子とメガネと片耳にピアス?イヤリング?と、複数の指輪をつけていた。「ここイオンと一緒の建物に入ってて。保育園時代のママ友パパ友と会う可能性全然あるんすよね。あのラーメン屋は辛いのだけじゃなくて普通に醤油ラーメンもあって。細麺なんす。塩ラーメンもあるけどそっちは太麺なんすよね。醤油は店のほうに結構こだわりがあるらしくて、麺量も変えられないようになってるんですよ」みたいに、平たい情報をおだやかに淡々と言う感じの話しかたが特徴的に感じた。

ワさんは、小学生のお子さんが発達障害(ADHDとASD)であるらしく、登下校が一人でできない等さまざまな困難を抱えているようだった。夫婦で育児に傾けなければならないリソースが定型発達よりも多く、気にかけることが多いと言っていた。子供の発達障害の事情を聴くと、親側の疲弊がすごそうだった。

お昼。シテワさんは激辛ラーメンを食べていた。三人は辛いものが好きらしかった。シさんは辛い物を食べると排泄前にたまに前立腺が刺激されてめちゃめちゃ気持ちよくなるときがあるらしく(そんなことあるの)、最近はそうなる条件を探っている、と言っていた。

僕も同じやつを食べてみたかったけれど、明日大学で審査会があるから、お腹を壊さないように自重した。普通の醤油ラーメンを食べた。こんなまともな判断ができるなんて、僕も大人になってしまった……。

すこし歩いてカラオケBanBanに行った。大きな個室で、それぞれが持ち寄った漫画を読み合ったり、カタンをしたりした。カタンなんてしたの5年ぶりくらいだ。この歳になると、なかなかプレイヤーを4人集められる機会がない。カタンのあとに僕が持ってきた小さなテーブルゲームをひととおり遊んで、それからみんなで紙に絵を描いて遊んだ。「紙に絵を描いて遊んだ」って子供みたい。

デンパトウ

帰り道の駅の地下通路で、テさんが早速お腹を壊した。彼がトイレから出てくるのを待っているあいだ、シさんは曲がり角の隅のところに身体をはめ込んでいた。「隅っこが似合いますね」と言ったら、シさんは「僕は一生、隅っこで目立たぬよう生きていきたいです」と言った。

夜はシテさんと磯丸水産に行った。シさんは磯丸水産の蟹味噌がこの世の食べ物のなかで一番好きと言っていた。僕はカニアレルギーなので蟹味噌の味を知らない。「蟹味噌ってどんな味なんですか?」と二人に訊いてみた。「脳天に直撃します」など訊いてもよくわからなかったけど、とりあえず臭いとのことだった。

その流れで臭い食べ物の話をした。テさんは豚骨ラーメンが好きらしかった。「東京のとんこつ味って、全然臭くないんすよね。博多とかの本場のとんこつは全然違いますよ。めっちゃ臭くて、めっちゃ美味いんすよ。なんか豚とセックスしてるみたいっす」と言っていた。

それでなんか急に僕は、自分が幼少期、家の網戸を舐めることにはまっていたことを思い出した。今思うとそこそこ異常行動だが、まあ子供は異常なことをする生き物。網戸は塩辛かった。

そのことを話すと、テさんは「俺は幼少期、鉛筆をよく食ってましたね。鉛筆食いました? 鉛筆美味くないですか? あとアリも食ってました」と言った。そのあと「ちなみに犬はめっちゃ美味かったっす。ベトナムで食べた。羊の脳みそはクソ不味かったっす」とか言ってた。いろんなものを食べているな。

帰った。

今日はすごく楽しかった……。僕はシテワさんが三人とも好きだった。リラックスして話せた。話さないことも楽だった。

彼らといるとき、僕は子供になっているような気がする。僕は子供になりたいのだと思う。