死刑になった夢を見た。錠剤を一粒飲まされると、ただちに釈放された。その薬は数時間かけて僕の内臓を溶かすらしい。それまでの時間は好きに過ごしていいらしかった。僕は新幹線に乗って、行ったことのないところに行った。
だらだらしていたら遅刻してしまった。卒業制作展の4日目。最終日。

誰かが入っているトイレの個室の床から書類が散らばっていた。用を足したあとに回収するつもりなのだろうかと思った。その後、しばらくしてからもう一度トイレに来たら、さっきと状況がまったく変わっていなかった。異様に感じてよく見てみたら、これは誰かの卒業制作の作品らしいことがわかった。頭を下げて床の隙間から覗き込んでみたが、個室内に人の足らしきものは見えなかった。鍵がかかっているけれど、中にはたぶん誰もいないのだ。いたらいたでぞっとするなあ。

祝日だったので、大学構内でも飲食店が開いていなかった。今日は成人の日なのか。今の成人式って18歳が参加するのかな? 人によっては受験直前期でそんなことしてる場合じゃなくない?(今も成人式に参加するのは20歳の人々らしい。あとで知った)。食糧を求めてキャンパスの隣にあるビバホームに行った。

マリオンクレープを食べて、ベンチに座って漫画を描いた。今日が締切。なんとか間に合わせられそうだった。ここ一週間の僕の作業量は目を見張るものだった。楽しかったんだろうな。
今日はあまり在廊せず、うろちょろしていた。在廊するのには体力がいる。無理はしなくていいなと思った。展示しているビルドはコントローラーの側からはゲーム終了できないようにしているし、入力がしばらくないと自動でタイトルに戻るようにも実装したので、安心して放置できた。

昨日と同じくhさんの展示ブースに入り浸った。ここが一番暖かかった。hさんはお菓子の袋をくれた(hさんはいつもお菓子をくれる)。同じセットの袋をもう一つを取り出して「今一緒に食べようよ」と言われた。僕はいいよと言った。「どれから食べる?」と言われたので、リンゴのやつ、さつまいものやつ、栗のやつの順でと言った。一緒に食べながら感想を交わした。
またたくさん喋った。途中、僕があまりにずけずけとしたことを言ったせいで、hさんは両腕に蕁麻疹が出た。謝ったら、hさんは「トロヤくんと話すときは、つねに蕁麻疹が出るリスクを負っているから」みたいなことを言った。hさんはたぶん人よりも頭の中にたくさん警察を飼っていて、常にそれらの環視のなかで自己検閲をし、それに疲れたり不安になりながら生きているのではないかと思う。それに対し僕は頭の中が素っ裸の無法地帯なので、hさんと話すと彼女の中のセンサーを無自覚にたくさん脅かしてしまうのだ。だからこそ僕と話すのを楽しんでくれている部分もあると思うけど。
hさんに「トロヤくんは私としゃべってて楽しい?」と訊かれた。楽しいよと言った。楽しくなくてもいいと思うよとも言った。
脳内に警察がいると、なんでもかんでも「よい/悪い」のどちらかに振り分けられる。振り分けの判断が否応なく行われる。世界は実際は、我々が偏執的に気にしているよりももっと無関係で、互いにどうでもよくただ存在しているのではないかと思う。よいも悪いもなく、ただ在る。
帰宅。終わった~。卒業制作展終わり。俺おつかれ。本当に疲れた。本当。寝る前に最後の力を使い、合同誌の漫画を仕上げて提出した。会期中は自分のキャパシティいっぱいまで忙しかった。大学に行くことと漫画を描くことで手いっぱいで、帰宅後は毎度一瞬で眠りに落ちてしまった。日記を書く暇もなかった(後日まとめて書いた)。こういう種類の書けなさもあるんだな。日記を書けないような生活は、もうキャパシティを超えているということにしてもいいか。
明日は撤収作業あるっす。