最も恐ろしい言葉
正午に目覚ましをかけたが、目覚めたのは14:30だった。問題はない。真顔で出かけた。昔は予定の時刻に起きられないと「全部おしまいだ」という気になって、その日は何もできずに終わることが多かった。しかし最近の僕は、寝坊しても気持ちを切り替えて行動に移せるようになった。申し訳なくても、恥ずかしくても、行く意味がほとんどなくなってしまっても、行くのだ。5年前の自分に教えてあげたい。行くのだ。
日比谷線で、男が非常通話装置を押した。車両内に「ピー、ピー」と音が鳴り渡った。電車は近くの駅で停止した。その男は声を張り上げた。「みなさん、優先座席では携帯電話の電源オフのルールを守らない人がここにいます! どうぞSNSで拡散してください! 電車が止まるのは何百人もの人の迷惑になるんですよ。この人(優先座席でスマホをいじっていた人)は私の日本語が聞こえてるのに、スマホ使用をやめません! そんな勝手な人間のせいで電車が止まっています。これ、みなさんも届出だしたら訴訟できますからね。刑事事件にもできますから。私もすでに5回以上刑事告訴した経験がありますから! みなさんどうぞ拡散してください!」
ホームから複数の駅員が、トラブル対応にやって来た。男は駅員たちに「遅すぎるよ! 有楽町線だったらこんなの3分で対応できてたよ」などと不満を述べ立てていた。有楽町線でもやったのか。駅員たちは男を囲むも、彼は暴れているわけではなかったので、物理的な接触はなく本当にただ囲んでいただけだった。みんな、傾聴していた。しばらくすると男は沈静化し、電車は動きだした。
アナウンスが流れた。「みなさま、先ほどお客様対応のため、当列車はただいま数分遅れで運行しております。お忙しい中ご不便ご迷惑おかけしておりますことを、お詫び申し上げます。また、電車内でのスマホ使用マナーについて、改めてご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします」みたいな内容。
「お客様対応」というのは、ぞっとする言葉だ。「お・客・様・対・応」この毒気の抜かれた語の並びに、いままでに発生した恐ろしい数のやりきれない事例、渦巻く感情が内包されている。そして、無数の事例を生み出した「お客様たち」の叫びが、「対応」によってひとまとめに片づけられてしまう言葉の大きさも、また怖い。
奇しくも?非常通話装置が押されるところを初めて見れてうれしかった。あれを押せば、車掌と会話できるわけか。あの、ピーという音、私鉄だと音源も変わってくるのかな?
東京ゲームショウ2024の前日設営をしに、幕張メッセに来た。入館パス発行から貸出機材の受け取り、有線接続まで色々とたらい回しになったが、どうにか準備ができた。寝坊したけど、どうにかなるのだ。提供されたブースが思いのほか大きくて、飾るものがなくてどうしようと思っている。周りのブースは、ぴったしに大きな横サイズのポスターを貼っている。あらかじめマニュアルで小間のサイズは説明されていたので、それに合ったバナーを用意しておくべきだったな。まあいいか。
帰ってきた。なんだか、ものすごく疲れた。本番は明日からなのに。明日から改めて、ブースに張り付いてイベント出展する。生き延びる。身体。俺。人。ゲーム。椅子。
不安だああ。

ハーマイオニー、僕に勇気をください。
ハーマイオニー「え? あなた誰ですか?」
僕はハリー・ポッターの公式LINEスタンプを持っているけど、絵がハーマイオニー以外のスタンプは使わないんです。
ハーマイオニー「は? LINE? スタンプって何? あなた誰なのよ?」
あっすみません、たまにドビーの「ごめんなさい…」スタンプも使います。
ハーマイオニー「ドビー? あなた彼を知っているの? ごめんなさいって、ドビーは一体、何に謝っているの?」
それは、文脈に応じて変わります。
ハーマイオニー「文脈に応じて変わるって何? どういう意味? あなた、誰なの?」
すみません。でも本当に、ハーマイオニー、あなたに勇気をもらいたいんです。僕はずっとあなたの

ハーマイオニー「よくわからないけど、インセンディオ」
ボッ