裏切りのテキーラ
友達と行く予定の温泉旅行で自分がドッキリを仕掛けようと計画するも、そのことをあらかじめ察知した友達が「トロヤのドッキリ計画を破綻させる計画を練るch」というDiscordチャンネルを立ち上げるが、僕がそのチャンネルから除外されていなかったので内容が筒抜けだった夢を見た。
英語の課題を提出したので、散歩することにした。自分のためだ。外に出て、日光を網膜に受け取ると脳内でセロトニンが分泌される。セロトニンは夜間にメラトニンに変換され、メラトニンは睡眠を誘発する。そうして生活リズムがつくられる。僕はセロトニン採集に出かけた。今日はところにより気温が40度を超えたらしい。
知らんエリアから、知ってるエリアまで歩いた。

川に入った。セーヌ川の水質が騒がれているが、ここは一級河川だ。水は冷たくなかった。水底の石が苔でぬるぬるしていて、気をつけて歩かないと滑った。

本当かな。
川から出たら、しばらく足を乾かすために裸足で歩いた。アチアチの石垣の上を歩いたので、ぴょこぴょこしていた。一瞬で乾いた。夏だった。水が冷たくなかったため納涼効果はゼロだった。

「第二希望の家」て。
急激な坂を上って、スーパーでテキーラとライムを買った。オモコロチャンネルでタコスを食って塩を舐めてテキーラをグイッと飲んでライムをかじる、というものすごくジューシーなことをやっていたのを観てあこがれたので、僕も実践してみようと思ったのだ。
帰った。テキーラショットを用意した。
手の甲にテキーラを塗る。そこに塩を振りかけてセットする。タコスじゃないけどピザをほおばる。次は塩を舐め……ん? これ今口の中にあるものを吞み込んでから舐めるの? それとも口に入れたまま舐めるのか? わかんないけど塩を舐めた。塩の味が強い。次はテキーラショットだ。まだ口にピザが入ってるけどいいのかな? ぐいっと口に含んだ。口の中が、パンパンだ。ヤバイ、早く呑み込まないと40度のアルコールに口腔が焼かれる。ライムだ。かじらなければ。でもかじるために口を開けたらテキーラが口から噴き出るぞ。やっぱり呑み込んでから次の段階に移るのかな? 動画をもっとちゃんと観ておくべきだった。口の中を空にするために慌ててグミグミと咀嚼した。嚥下が下手だから、どんどんライムフェイズが遅延していく。ゴールデンタイムを逃している感じがする。やっと呑み込んだ。すぐだ。ライム行くぞ。かじりつく。
ウオー! しみわたる。ライムが単純に美味い。でもテキーラの刺激も胃をかき混ぜてきて、テンションが上がる。塩はよくわからなかった。量が少なかったかも。
テキーラで狂いながら、深作欣二監督の『県警対組織暴力』を観た。はじめから終わりまで「何なんだ……何なんだよ!」と叫びたくなるような映画だった。ちょっと面白過ぎた。
僕はヤクザ映画が苦手だった。ヤクザの「盃を交わしたら認められる」とか「指を切って忠誠を示す」みたいな価値観がよくわからない。組長の代わりに部下が警察に捕まって刑務所暮らしをすることになり、おつとめへの鼻向けとしてその部下に「おちょんちょんを貸してやる(いい女を抱かせてやる)」とか、まるきり理解できない。理解できない価値観があるのは当たり前だし、ヤクザ世界の成り立ちからそういう倫理機構が醸成されること自体は頷けるのだが、それらはヤクザ界の内部でしか通用しないごく小さな価値観や文化に過ぎず、おままごとみたいなもんだなと思う。ヤクザ映画はそんなおままごとを鬼気迫る真剣な表情で描いていておかしいと思っていた。だから、観ても「もっとみんな、本とか読んだら…?」みたいな芯を食わない感想しか抱けなかったのだ。似たような理由で『ゴッドファーザー』『グッドフェローズ』も苦手だった。
でも最近は認識が変わった。親しい人が映画に詳しくて、上の話をしたら「ヤクザ映画はそういうのばかりでもないよ」と教えてくれたのだ。聞くに、ヤクザ映画というのは僕が忌避する内弁慶なヤクザ的価値観を脚本家がそのまま内面化したようなものだけではないらしい。むしろそのようなヤクザの倫理・文化に外部の視点から切り込み、客体化し描写する。そういうタイプのヤクザ映画も多いらしい。
『県警対組織暴力』もそういう系統かも。暴力団一味と癒着して任侠魂もインストールしてしまった地元警察の一人が、なんやかんやあって、縁があり深く愛していたとある暴力団メンバーを自らの手で射殺する。友人を裏切り、任侠を裏切った話なのだ。自分の中の任侠への忠誠を深く見つめた結果、任侠それ自身を裏切るしかなかった、ともいえるかも。それが肝なのだ。たぶん。
こう考えると主人公とその暴力団メンバーの関係性は、『響け!ユーフォニアム3』終盤の高坂麗奈と黄前久美子の関係性に近い気もしてきた(トロヤは響けユーフォニアムが大好き)。麗奈は自らの音楽への忠誠を見つめた結果、ある裏切りを起こしたのだ。
色々と考えたけど、『県警対組織暴力』はちょっといろいろと面白すぎて、観ている当時は「何なんだよ!」としか思えなかった。いい映画だ。テキーラを飲みながら観るのによかった。
ヤクザ映画、どんどん観ていこうと思った。
テキーラに気絶させられて、数時間後に目覚めた。このサイトの各セクションに必要なロゴを作る作業をした。下のような手順で作った。これは自分の作ったゲームや映像を閲覧できる「作品一覧ページ」のためのロゴ。

まずは、ページの概要を表す言葉をピックアップした文字列を考えて図におこす。「作品」という言葉をいじって、「乍ク品」を考えた。

要素を増やして、密度を上げていく。増やすときは何も考えず装飾してもいいけど、僕の場合意味性のまったくないピュアな平面構成を考えるのは苦手なので、「乍ク品」とは別に「worクス」という文字列を新しく考えて、しのばせた。理由があるほうが描きやすいのだ。

補助線を引いて、線の太さや長さを調整する。距離の離れた要素も同一線上で揃っていると、整然とした印象になる。補助線を意識しすぎると逆に見心地がパッとしなくなるので、補助線をつけたり消したりして、秩序とノイズを交互に織り交ぜた。「ク」の下の変なでっぱりは「works」の「k」のつもり。これも意味性から加筆の根拠を得たパターンだ。

終盤は意味性の低い装飾を直感でつけたして密度を調整して、完成。密度は均質なだけではだめで、ある部分は単調だったり、ある部分はぐちゃぐちゃしている方がいいと思う。左の「wor」のところだけ記号感があからさまに出っ張っている感じが、個人的に気に入ってる。
今、朝8時。テキーラ気絶から一睡もできてない。メラトニンはどこへ? テキーラのせいか?