動く密室

2024 - 09 - 27

東京ゲームショウ2024、2日目!

海浜幕張駅に到着した。今日も遠かった。通勤ラッシュの只中を行くので、満員電車だった。たまの満員電車は、嫌いじゃない。満員電車の中の人間は、尊厳のレイヤーが剥がされ、押し合い反発し合うただのRigidbodyになる。時として、ただのRigidbodyでありたいと思うことはある。

自分のブースにつくと、壁に貼ったバナーが剥がれ落ちていた。今日はそれを貼り直す作業から始めた。

開館を告げる会場アナウンスと共に、強烈な眠気に襲われた。頭がぐらぐらした。また今日は別館だけ異様に冷房が強くて、凍えた。僕はテーブルクロスの余った切れ端を膝に敷いた。これ以外布がなかった。でもだめだった。

寒さと眠さに耐えられなかった。僕は一時ブースを外し、この建物を出て、寝ることにした。2日目でこれはまずい。。。イヤホンをつけた。色々なベンチを渡り歩いた。最終的にビジネス&カンファレンスエリアの手前にある柔らかいソファにもたれかかり、頭を後ろの壁にくっつけて、目を瞑った。僕は寝た。

ビジネスマンが取引先と話す時の「営業用トーン」というのは存在する。あっどうもーお世話になっておりまーす! いえいえとんでもない! あっそうですかー! はいはい、へぇー! それはそれは! いやぁーとんでもございません! それらがついにイヤホンのノイズキャンセリング機能を貫通して聞こえてきて、起きた。14時だった。3時間くらい眠っていたみたいだ。ここはビジネスゾーンだから、営業用の声が飛び交っていた。体調は回復した。戻らねば。

自分のブースに戻った。

自分のブースに戻ったらGCGの方がいて、トロヤくんその足でインテルブースに行ってきて〜、こっちは私が見とくから、と言われた。今日はインテルブースにて、カプコンのプロデューサー松本さんと、同じくカプコンのディレクター中山さんと、ゲーム開発者のToyotaくんと、4人でトークセッションの予定があったのだ。14時半集合だった。確かにもうすぐだ。僕は移動した。

インテルブースでは、ヨコオタロウ氏がAIについて語っていた。僕らの出演は、その次の枠だった。いよいよ僕らの番が始まるというときに、凄まじい腹痛に襲われた。でももうなんか、最近体調不良のことばっか日記に書いてる気がするから、詳細は書かない。

トークセッションのテーマは「これからのゲーム業界におけるクリエイターのあり方について」だった。すごいテーマだ。セッションはMCの方々の助力もあり、一応滞りなく終わった。松本さんに言われたことで印象に残ったのは「自分ができること、やりたいことは会社に入っても絶対やり続けた方がいいし、できます、やりたいですって言い続けた方がいい。そしたらそのまんま個性を活かせる仕事を回してもらえますからね」という言葉だった。僕は、そうしようと思った。最後に4人で記念撮影をした。

自分のブースに戻ったら、16時だった。ブース番をしてくれていたGCGの方が、来たお客さんの感想とかを細かく伝えてくれて、すごく助かった。閉館は17時なので、残りの1時間を自分が見た。せっかくのイベントなのに、1時間しか見れないことになるとは。まあTGSは後半2日間の一般参加デーが本番なので、今日は切り替えて、回復の日ということにしよう。した。

ブースにいるとき、自分から見える景色はこんな感じ。お客さんが遊んでいる画面を、ミラーリングして見ている。

Death the Guitarがいざ遊ばれているところを見ると、面白いなこのゲーム、と思う。アンプによる跳ねる移動が、思考の追いつくギリギリの速さで行われるのだ。今いるところだけじゃなくて、数メートル先の空間を見て、この範囲で自分がどうにかできる、と思うアクションを想定して、実行する。それが想定通りに行くと、嬉しい。想定通りに行かなかったときは、次の回避行動をほとんど反射で行う。それもまた、時間差で脳がひりついてきて、嬉しい。

面白いけど、同時に「もっとこうしたい」と思う部分もたくさん思いついた。開発のやる気が湧いた。

やる気湧いてます!!!!!!!! Death the Guitarもっと楽しくできる!!!!!! したい!!!!!!!

2日目が終了した。怒涛のコミュニケーションで長く感じた昨日とは違い、今日は気づいたら終わっていた感じだ。

帰りも当然、満員電車だった。たまの満員電車は嫌いじゃな……

乗り込んだ満杯の車両内に、強烈な悪臭が立ち込めた。あああああーーーーああああーーあー。そうかこれがあった。キャリアが乗車してきたのだ。大規模なゲームイベントの参加者の中には、仕方ないが一定数「キャリア」が存在する。運悪く、鉢合わせしてしまったようだ。「饐えた臭い」と書く時にしか使わない「饐」という字にふさわしい、入り組んだ腐臭だった。

こうなると流石に、満員電車は嫌いじゃないとか言っていられなかった。うーん! 剥がされていた僕の尊厳レイヤーが、みるみる主張を強めていく。キャリアの放つ刺激臭が、僕をただのRigidbodyから感情を持つ主権者へと昇華させたのだ。ウワー! きびしー! 無理だ〜! 出してくれーっ! なんでみんな真顔なんだよ〜! なんなんだよー!

満員電車なんて、こりごりだーっ!