寝ギュラリティ

2024 - 10 - 14

一日中寝てた。起きてご飯を食べては、また寝るのを繰り返した。体も心も慌しかったここ1週間に蓄積した疲労が祟ったようだ。両腕両脚が痛くて、物を考えるエネルギーもゼロに近かった。眠気があるのが救いだった。寝ればきっとよくなると思えたから。

盆栽の赤ちゃん。祖母が市内の盆栽サークルのセミナーにたまたま出くわしたらしく、気まぐれに聴講したら、土産にこれをもらったらしい。針金で、枝の方向がコントロールされている。すこしかわいい。祖母は「成熟するのに何年かかるんだろうね」と言った。僕は「おばあちゃんが死んだら、僕がこれを引き取って育てるよ」と言った。

寝た。寝寝寝

大学から、返済不要の特別奨学金を10万円もらった。どうやら僕は学科の優秀生徒として、研究室の推薦を受けたようだ。うれしい! 10万円大好き! 10万円があれば、なんでもできる。9万円を払うこともできる。

寝ん寝ん寝ん寝ん寝ん寝ん寝

本当に、ほとんど寝る以外のことをしなかった。すこし起きてみても、絶望で身悶えするだけだった。寝るのが一番だと思った。

父に「就職活動はやってるのか」と言われた。夏のインターン応募に落ちてからは特に何もやってないと言うと、「いつから始めるのか」と言われた。「狙ってる企業がエントリーを募集しだしたら?」と言った。「それっていつや」と言われた。それはわからない、と思った。でも今思えば、前年度のデータを調べたりしたらわかるかもしれない。不安になってきた。3年生の10月。そろそろ流石に具体的行動を取るべき時期だ、よ、な。

僕は大学のキャリア相談室に、予約を入れた。自分は一体何をすればいいのか、訊くのだ。一人で悩んでいると、いつの間にか取り残されてしまう気がする。

で、寝た。今日は何もできなかった。

生とは、寝て起きることだ。死とは、寝て起きないことだ。生きるにしても、死ぬにしても、いずれにしても眠ることは避けられない。

いつも何もできなかった。