数秒後のトロヤマイバッテリーズフライド

2024 - 10 - 24

起きた。昨日まで心に沈澱していたBADは、ほとんどなくなっていた。情報筋によると、ここ数日、体調やメンタルを崩す人が大量発生しているらしい。気温や気圧が乱高下したので、それかも。秋口が牙を剥いたのか。僕も、もしかしたらその一員にすぎなかったのかな。

調子が悪くなかったので、25mプールで泳いできた。平泳ぎを2本、クロールを2本おこなって、ひんしになった。消耗の9割は、クロールのせいだった。元水泳部の友達がこの前教えてくれたコツに従って、膝を曲げないようにバタ足をし、手のひらで水を押しのける感覚を意識した。フォームはよくなったかもしれないけど、なんにせよ疲れた。息継ぎのときに、息を吸いきれねえ。15メートル泳いだあたりから胸筋が悲鳴をあげて、腕がくたくたになって推進力を作れなくなってしまう。終盤は、ほぼ溺れながら進んでいた。

クロールとは、なんて効率的な運動だろう。数分たらずで体力をゼロまで使い果たしてしまう。ランニングなどとは仕事率が桁違いだ。僕の目的は体力をつけることなので、その日の限界まで身体を追い込んだら、もう帰ればいい。別に何本も数を泳ぎたいとかはない。

でも、もっと上手く泳げるようになりたいとは思う。身体を動かす角度やリズムをブラッシュアップすれば、今日よりもっと推進力を出せる。そういう水とのやりとりが楽しい。泳ぎきった後、疲れてベンチに座って俯く。すると、帽子に溜まった水がポタタタタタとこぼれる。こぼれた水はタイルの溝を滑っていく。水が面白いのだ。もっと身体と水を溶けあわせていきたい。

クロールの方が効率的に身体を追い込めるから、ついそっちを重視してしまう。でも、平泳ぎも大事だ。船が沈没して海洋に投げ出されたとき、僕が取るべき主な移動手段は、体力消費の少ない平泳ぎになるだろう。これを上手くなっておかないと、生存する確率が下がる。平泳ぎはもっとも現実的な泳法なのだ。とはいえクロールも捨てがたい。子供が川で溺れかけているとき、平泳ぎで助けに行く奴はいない。子供にたどり着く前に、クロールで助けに向かう別の大人に抜かされるだろう。そうなったら恥ずかしすぎる。警察署長から感謝状を貰いたいなら、クロールを修練すべきだ。クロールも平泳ぎも、それぞれ重要な泳法なのだ。

他の泳ぎ方といえば、背泳ぎとバタフライがあるけど、あまり自信がなくてやってない。それにこの二つは、実用性の観点から見ても怪しい。背泳ぎはまだ息継ぎを気にせず、のんびり空を見ながら泳げるから気分がいいかもしれない。バタフライ、お前はなんなんだ。何が目的なんだ。激しく身体を動かし、難しいわりに、速いわけでもない。どういうつもりなんだ。川の子供を助けに行くときにバタフライなんかで向かったら、舐めプだと思われて炎上する。

立ちくらみを感じながら帰宅した。祖母は今日も、例の怪我をした野良猫のいた公園にちくわを持って行ったらしい。でも今日は猫はおらず、公園はもぬけの殻だったみたいだ。祖母は「まあ、人間から食べものを貰うのを覚えちゃったら、自分の力で生きていけなくなるからね。これでよかったのよ」と言った。自分に言い聞かせているようだった。

その後、眠くなるまで『情報 第2版』を読んだ。

焦り。日記を書き始めてから3ヶ月が経った。いまだに毎日書いている。毎日書こうと決めているわけでもないのに。ゲーム開発のほうは、進捗どうですか?

天才てれびくん

体調でいうと、3ヶ月前よりも確実に良くなっている。忌々しい夏が終わったし、薬にも慣れてきた。日記のおかげで、生活にルーティンらしき24時間単位の循環が生まれつつある。最近はむしろ人間関係でイレギュラーな出来事が多くて、ストレスを溜め込んでしまった。もっと落ち着いた生活を送らせてください。送るぞ。意識的に送るぞ。身辺を整理するのだ。日記を読み返して気づいたけど、夏に比べて悪夢を見る頻度が下がったな。

僕がやるべきこと

・Death the Guitarをつくる

・大学に通う

・後期の課題作品をつくる

・ポートフォリオをつくって完成度をあげていく

・適宜、求人やインターンに応募、面接とか

理論的には並行でできないことはないはずだが、僕は理論上の仕事をこなせる人間ではない。定期的にこうやって自分のやるべきことを並べて確認しているけど、いつもどれもがボロボロになる。予定を立て、目標を立て、頑張るけど、結局寝込んだりさぼったりして、「やっぱ間に合いませんでしたーガハハ」と泣きながら、それでもゼロではないわずかな進捗を抱きしめて、いつのまにか少しは前に進んでいる自分を意識する。ここ4年間ほどの自分の人生は、このような感じで運営されてきた。

やるか。やるかとしか言えない。やるかと言っても意味がない。数秒前のトロヤマイバッテリーズフライドがそう言っていた。それしか残っていない。何もできない。

寝ることしかできない。寝相が良い。

僕が寝るとこ見てて。