アダムのFactorio実況

2024 - 11 - 05

何年もかけた個人のゲームプロジェクトが売れないこともある。宗教は身近に潜んでいる。「何年も」「かけた」「個人の」「ゲーム」「プロジェクト」「売れない」「こともある」それぞれに、宗教がある。みんなnoteを書いている。みんなそれぞれの自己啓発がある。今は自己啓発のレッドオーシャン化が進み、一人一つの自己啓発を持っているだけになっている。素晴らしいことだと思う。皆それぞれ、老荘思想を引用したり、あるいは藤子作品の漫画の台詞を引用したり、桜井政博を引用したりしている。一人で、勝手に、やっている。一人一つ、自分だけの神を持って、自分を高める自己啓発を持っている。一人一つのnoteを持っている。素晴らしい時代になった。早くこうなるべきだった。

という夢を見た。喉が渇いて起きた。まだ眠かった。

水を飲みに寝室を出た。真っ暗なリビングで、パソコンのモニターだけが煌々と光っていた。パートナーがFactorioをやっていた。そういえば目覚めた時に、彼は寝室にいなかった。話しかけると、彼は決まりが悪そうな顔をした。「ほんのちょっとやり忘れていた作業をやるつもりで(パソコンを)立ち上げたのですが、はまってしまって、こんな暗い部屋で、結果として長引いてしまって、これも言い訳なんですけど、アハハ、お恥ずかしい」との供述。きっとここにも宗教が隠れている。僕は「ゲームにはまるのは何も恥ずかしいことではないよ」と宗教的発言をした。僕は一眼レフカメラを持って、真っ暗な部屋でモニタに向かう彼を撮った。

もう一度寝て、起きた。元気がすごいある。でももうちょっと眠いかも。だが腹が減ったかも。腹だけ満たして寝ようかも。疲れはまだ残っている。疲れはいつのまにか、溜まったり除去したりするものになっていた。肩にのしかかって、なかなか消えない。子供の頃は、疲れは、目に見えない友達だった。夕方から夜にかけて現れる、僕らの友達だった。晩御飯を共にした。布団に一緒に入って眠る友達だった。今はもう、疲れは友達ではなくなった。

食べて寝るか。気分は悪くない。むしろいい。Factorio、横から見てても面白そうだな〜と思う。だが僕よりも彼の方が圧倒的に適性があるのは確かだ。最近の彼は、何もかもがFactorioに見える病気になってしまった。コーヒーを淹れていても、お湯を足しているあいだ膨らむコーヒードームにFactorioを見出していた。お湯が溢れそうになったら一旦やかんを下ろすのも、Factorioだった。生産の途中で、ある工程が詰まること。ラインの詰まりを解消するために「速度」などを見直し、最適な数値に近づけること。

僕が思いつくのは、Minecraftで鉄インゴットを製錬する時とか。いくつかのかまどを同時進行で働かせるけど、忘れて畑仕事をしている間にどこかのかまどが燃料不足で止まってしまっていたことに気づいたりすると、勿体無いムーブをしてしまったな、と考えたりする。

こういった、複数の製造ラインを並行運用して、どこかの詰まりを解消する動きを考えること、そのための自分の動きを最適化すること。パートナーにとって、これは人生におけるひじょうに大きなテーマであるという。僕が人間にはそういう作業に根源的な喜びがあんのかなと訊くと、彼は「ある」と言った。「アダム・スミスの『道徳感情論』ですでにそのことは論じられていて、僕が言うまでもない」とのこと。僕にはアダム・スミスのことはやや難しいが、Factorioのことはいっそう気になってきた。

朝6時。キッチンからカトラリーの落下する金属音が、2回聞こえてくる。彼は「ウワー! いろんなものが落ちてくる」と言った。僕は「重力」と言った。キッチンは曲がったところにあるので、ここからは声しか届かなかった。光は回折しにくく、具体的に何が落下したのかはわからなかった。

闇バイトが急速に流行っている。大手バイトサイト経由で「ホワイト案件」などと謳い、実入りのいいバイトという体で、困窮している若者が、指示役とされる者に脅されて、踊らされて、強盗を働かされている。小田急線のモニタも、「『簡単な受け渡し』で高時給。そんな都合の良いバイトはありません! 受け子出し子など、闇バイトに注意」と啓蒙の広告を流していた。

↑を書いたのは、僕に特に思うところがあったからではない。特定の犯罪の種類が急に取り沙汰されて、それによる人死にや暴行のニュースが急に毎朝連続報道されて、なんか急ですごいな、と驚いているだけだ。おそらく、この新しい?犯罪形態に「闇バイト」というラベルがつけられようやく行政に認知されたから、今その窓口が一斉に検挙されている時期なのだろう。未来の誰かがこの日記を読み返した時に、2024年下半期はそんなことが流行ってたなと思い返せるように書いた。

書いていたら、朝ごはんを食べ終わっていた。僕はまた寝た。

扉を開けることは、外からの侵入を招くと同時に、内から外へ飛び出させることも許している……みたいな夢を見た。

まだ眠い。昨晩徹夜したせいもあって、よくわからないコンディションになっている。頭がうまく働かない。んんん。スプラトゥーン3を起動した。イグザミナーでレート戦をした。イグザミナーというブキは、採点用赤ペンをモチーフにしたスピナー(ガトリング銃)だ。自分で選んで使っているのではなく、パートナーに決めてもらった。「溜める時間はぐっと堪えて、その後一気に放出するスピナーはトロヤくんにぴったりだと思ったから」だそうだ。気に入って練習してる。スペック上、前線で暴れるのではなく、中衛でサポート的に振る舞う形になる。だからなるべくデスは抑えたい。でも、弾を溜めている時間の位置取りがまだあまり上手くなくて、チャージ中によくキルされる。ぐっと堪える時期があるのは僕らしいが、ぐっと堪えるのが苦手なのもまた僕だった。

今日は一日中ぼんやりしていて、何もできなかった。徹夜の代償が大きい。歳をとるってもしかしてこういうことですか?

インターン選考の書類が、一個通った。初めてだ。夏に申し込んだ二社は、どちらも書類で落ちていた。次は面接だった。

そしてこういうのは今後、日記に書くべきではないな。就活に関して書きたいことは無数にあるけど、会社が特定される可能性のある具体的なことは何も書くべきではない。ゲーム会社の課す守秘義務は、並大抵のものではない。今のうちに「書かない」ということを覚えなくちゃ……。面倒だけど、書かないことを選ぶのも、書くという作業のうちだということに最近気づいた。堪え忍ぶ。

明日は部屋の片付けをして、プールで泳いで、本を読もうかな。諸々の立て直しを行う。

この三連休は、モノっスぉイ疲れた。でもどの日も良かった。