選びとるゴルフクラブ

2024 - 11 - 20

13時に起きた。

昨晩のひどい腰の違和感は、すこし落ち着いていた。でも、まだ残ってる。病院に行こうと思った。近辺の整形外科を検索する。クリニックのGoogleマップのレビュー欄は、怒っている人が多い。薬漬けにされてばかりで一向に治らないとか、紹介状を書いてくれないとか、受付の態度が悪いとか。クリニックによっては、レビューの一つ一つに院長が丁寧に返信をしているところもあって、胸が痛む。

近くにはほとんどレビューの荒れたクリニックしかなくて、悩んだ。そもそも自分は整形外科に行って何をしてもらうのか、考えた。レントゲンを撮って、腰の骨が壊れていないかどうかを調べるみたいな感じ?

どうにかすべきは今の腰の状態というより、僕の普段の姿勢の悪さや座り方だと思う。昔から椅子に深く腰かけることができず、背中の一点とお尻の始まりの二点で体を支える座り方をしていた。「仙骨座り」と言うらしい。

腰にかかる負担が大きく、よくないらしい。体だけでなく、椅子にかかる負担も大きい。昔から、僕が座っている椅子だけすぐに壊れた。よくない自覚はずっとあったのだけど、改善できないままこの歳になってしまいました。この姿勢の悪さによる蓄積が、今回無理をきたしたんじゃないかな。

いわゆる猫背矯正みたいなことをするべきなのかな? そういうのは、整形外科よりも整骨院の方が適しているイメージがある。ない? というか、整骨院って何。

整骨院は、「柔道整復師」の資格を取得している者が「医療類似行為」を行う施設らしい。柔道って回復技もあるんだ。「接骨院」「整骨院」という名前の揺れがあるが、実態に違いはない。

整形外科と整骨院、どっちがいいんだろう。整形外科に行っても、対症療法的な薬だけ処方されて終わりそう。しかし整骨院は、なんだか得体の知れないイメージがある……。「整骨院」自体は良いけど、その前によくついてる「鍼灸」が怖い。

悩んでいたら、いつのまにか寝てた。

起きたら18時だった。

改めて検索を再開したら、もう整形外科はどこも閉まっていた。じゃあ整骨院に行くしかないか。僕は家を出た。

整骨院に行った。

施術台の上に座ってくださいと言われた。先生は「ストレートネックですね。両肩が、前に縮こまっちゃってる。腰だけが悪いのではなく、首もつらそうだし、お尻から太ももにかけて、よくない力のかけ方が癖になっちゃってますね」と言った。

背中に電気を流され、マッサージされた。

「20代の男性の筋肉量としては少ないですね。どれだけ正しい姿勢を維持しようという意識があっても、内部の筋肉が弱いので、体が耐えきれてないんですね。お尻の穴に力をぐっと入れてみてください。そうそう。そしたら自然と背中が逸れて、頭も肩のラインより後ろに行くでしょ。両肩も広がって、正しい位置になる。今しんどいでしょう? 普通の人はそれずっとやってるんですよ」

腰痛の始まりから解説するプリントをもらった。「腰痛は人類が二足歩行に進化したことによる代償なんです」先生は語った。

姿勢を治すためにできることは何ですか、と尋ねた。答えは地道だった。体幹を鍛える筋肉トレーニング、そして意識的に姿勢をただす習慣をつけること。さっきやった「お尻の穴に力を入れる」を、癖になるほどやってくださいと言われた。夜にはストレッチをすること。ついた筋肉を、使えるように伸ばさないといけないから。

帰ってきた。整骨院、行ってよかったな。施術のおかげで、腰の違和感は消えた。でもこのままの姿勢で今後も過ごしていたら、きっといつか、僕の腰はもっと大変なことになるだろう。これからは腰を大事に、よい姿勢を意識していこう。僕は尻を引き締めた。帰宅後しばらく、スプラトゥーン3をプレイした。デスするたびに尻を引き締めた。

昨晩様子のおかしかったパートナーは、もとに戻っていた。よかった。僕は彼に、自分が昨晩感じた不安をぶつけた。彼は笑って謝ってくれた。その上で、「バイタリティが無いときはどうしてもレスポンスが悪くなってしまうことは、わかっておいてほしいです」と言われた。僕は了解した。

昨晩中断した『マルホランド・ドライブ』を見終わった。演じられる世界とその背景にある現実の世界との境界線を、監督はいかようにも「ずらせる」んだぜ、というメディア批評的な視線を感じた。僕としては、映画業界で蔓延っていた(る)性加害の問題を連想した。これはフィクションですという言い訳が立つ世界で、「キスシーン」という名目で、「キス」が行われている。でもそのキスは、本当に実際に行われていることなのだ。この、ことよ。

前半の、一本のゴルフクラブを携帯している「アダム」という人物の描写がめちゃくちゃよかった。護身用か攻撃用かお守りなのかわからないが、つねに持っている。会議中も、お箸のようにテーブルの上に置いている。彼が帰宅すると玄関にはクラブケースがあって、それには他のクラブが何本も刺さっている。彼は持っていたクラブを、そこにしまう。ということは、彼は毎朝家を出るとき、その何本もあるクラブの中から一本「選んで」持ち出しているのかもしれない。サラリーマンのネクタイみたいに。すごいことだ。寝室に入った彼は、妻の浮気現場に遭遇する。それを見た彼は、何も言わず、表情も一切変えずに、棚から妻の宝石箱を取り出す。そして部屋を出て、ガレージに行く。何色か並んだ塗料のバケツのなかからピンク色のものを「選び」、それを取る。キッチンに移動し、床に宝石箱とバケツを並べる。妻の宝石箱を開けた彼は、その中にピンクの塗料をぶちまけるのだ。素晴らしい。こんな怒りの回線、はじめて見た。彼は「浮気されたことだし、復讐するか」とでも思いながら、復讐しているように見えた。かっこいい。

マルホランドドライブは、この前少しだけ見た同監督のドラマシリーズ『ツイン・ピークス』と演出面でかなり似ていると思った。ツインピークスは当時空前の大ブームを巻き起こしたらしいけど、それって本当なの? デヴィッド・リンチをカルト的に愛する人たちがいるのはわかるけど、とてもお茶の間にうける内容とは思えない。よくわからない。

寝る。

昨日今日と、漫然と生きてるな。PARCOが終わって、なんだか許された気持ちになってしまっていた。そろそろ意識を取り戻さなきゃな……。

あ。金曜から3日間、対面かつチームで行われるゲームジャムに参加する予定があるのだった。今思い出した。もう明後日じゃん。あれ、事前に説明会があるんじゃなかった? 僕は受信メールをさかのぼった。ア! ゲームジャム専用のDiscordのサーバーが、すでにできていた。招待コードがだいぶ前に届いていたことに、気づかなかったのだ。僕は慌ててサーバーに入った。サーバー内では、すでに事前説明やチーム分けは終わっていた。僕はチーム4だった。各チームごとに、自己紹介や案出しなどが活発に行われていた。やべ〜〜!

寝る前に、ストレッチをした。