指輪物語

2025 - 09 - 09

3時間ほどで目が覚めて、4時半くらいには起き上がった。徹夜した次の日って3時間くらいしか眠れなかったりするよね。

出発する時間まで、マリオカートしてた。ちょっとむずいミッション。

学校に行った。審査会二日目! 今日は昨日の展示を回遊する講評形式ではなく、映像メディアで卒制を提出した人たちの作品を順番に上映して、鑑賞していく形式だった。

鑑賞を、した。

作品には関係ないのだけれど、教授がある作品に関係して発したコメントで「カマキリって寄生してるハリガネムシに操作されて、水辺へ移動していくじゃないですか。それでよく、アスファルトを水辺と勘違いして路上に迷い出て、轢かれてしまうことがあるらしいんですよね」と言った。僕はその発言に衝撃を受けた。というのも、最近日記に書いたとおり、僕はずっと前から「なぜか自転車を漕いでるときに、カマキリにやたら出くわすな」と思っていたのだ。理由は知らなかった。

教授のコメントによれば、その理由がもしかしたら、ハリガネムシのコントロール下におかれたカマキリが路上へ迷い出る傾向によるものだったのかもしれない。自分のなんとなく感じていたあるあるに裏付けを与える可能性のある事柄を思いがけず知ることができた。興奮した。あ、夏だったら道路の向こう側に逃げ水が発生するから、カマキリはそれを水辺だと思い込んで、車道を無理に横断しようとするとかあるかも! ひょっとしたらね。

という、作品に関係ないひらめき。

10分休憩のとき、昨日の講評で教えてくれた映画の名前を確認しに、教授に話しかけにいった。すると近くにいた別の教授から突然指をさされた。その指は僕の着ていたTシャツをさしていて、教授は「村上春樹。佐々木マキ」と言った。僕が佐々木マキ(『風の歌を聴け』とかの表紙絵を描いているイラストレーター)のTシャツを着ていたからだった。メタモンと同じことが起きてる。僕は教授に「そうです」と言った。

映像の提出者は比較的少なかったので、昨日よりも早く終了した。その後、各ラボに分かれて集まりなおした。個別の再講評、というかまあラボの教授との、より詳細な個別相談がおこなわれるようだった。教室に早めについた僕と🌲は、始まるまで炒飯のおにぎりでキャッチボールをして、その後いいちこのコマーシャルポスターを集めたエッセイ付き写真集を一緒に読んでいた。

うちのラボで、ゆるめの再講評が始まった。僕のターンでは、僕は「とにかく作品づくりができません。朝起きて動けません。やる気が出ません」という、作品の内容以前のどうしようもない問題について泣き言を言った。明快に解決につながるアドバイスはとくに貰えなかったが、ひとまず自分の課題点を包み隠さず伝えられたのでよかった。

これにて本当に前期審査会終わり! やったー。また明日からゲーム開発をしていく。ルーティンを見つけねば。

各学生が展示作品の撤去作業を進めているなか、僕はあらためて昨日は見つけられなかった🐞さんの指輪を探し始めた。🐞さん本人はコンディション悪化で休んでいたので、僕一人での捜索になった。学科の棟の全域をめぐった。幾人かに声をかけて、見つけたら研究室に届けてくださいと頼んだ。

自分は物を見つけられるタイプの人間ではない、というか、失くす方が得意なので、棟内をふらふら彷徨いながら、正直指輪は見つけられないんじゃないかという気がした。

探索中にすれ違った🌲が自身の作品解体中に手を怪我していたので、リュックに入っていたキズパワーパッドをあげた。今日の僕は利他行動が目立つな。

指輪の行き先として一番最悪なシナリオは、拾った誰かによってゴミ箱に捨てられて、それが業者によって廃棄されてしまうことだと思った。逆に、捨てられさえしなければ基本的には棟内から動くことはないから、今日は見落としても別日にまた見つけられる。なので僕としては、捜索力に自信がないなりに最悪のケースだけはケアしておこうと考えて、棟内のゴミ箱を全部開けて中身を検めることにした。🐞さんも昨日ゴミ箱まですでに調べたらしいけど。今日捨てられた可能性も見ておこうということで。

箱からゴミ袋を取り出す。入ってる量の少ないゴミ袋は、口を閉じたまま床にひろげて、袋の外側から中身をこそこそ掴んで動かしたら全体を調べられた。このやりかたは手が汚れなくて良い。でも中身の多いゴミ袋はその手が通じなかった。そうなったらもう、ずぼっと腕を突っ込んで調べるしかなかった。中身多いのに限って生ゴミ袋だし……。

生ゴミ袋の中身は、お菓子の袋が多かった。みんなスイーツをよう食ってんのか、甘い良い匂いがするときが結構あった。しかし必ずしも甘いものだけではなく、タバコ臭いときとか、あと黒くぶよぶよとした謎の塊が入ったゴミ袋もあった。それは悪臭を放っているうえに掴むとジュワッ……と意味不明のぬめり汁が出てきて最悪だった。美大だから、作品制作のために日常生活にはまず現れないサブスタンスが持ち込まれることもあるんだ。わかったことは、生ゴミの袋は当たり外れが大きいということだった。

相変わらずわからないのは、指輪の行き先だった。結局ゴミ箱からは見つからなかった。🐞さんにとってその指輪が何に相当するほど大切なのかを若干知っていたので、僕は自分の実家にいた猫が家から脱走していなくなってしまったときのことを思い出して、少し泣きそうになった。

今日も諦めて帰ることにした。炒飯のおにぎり美味えー。

帰宅した。ちょっと寝た。起きたあと『劇場版 少女⭐︎歌劇レヴュースタァライト』を見た。アニメ版を見終わったので、満を辞して。

見たけれど、そんなに良いと思えなかった。全体にゆっくりに見えた。中盤が嫌だったんだと思う。各カップリングの関係性を一つ一つ見ていって、それぞれが舞台フェイズを経て互いのわだかまりを順次解消していくみたいな流れが、ちょっとシステマチックで予定調和で、あと記号的すぎると思ったんだ。最後のひかりと華恋の関係とアニメーションはものすごく強度があって感動した。個人的にはそこだけでよかった。音が多いから、劇場で鑑賞したら違ってたかも。

どうしてもウテナと比べちゃって、そうするとやっぱり色々な要素(レヴューというシステム、バンク表現、世界の変さ)がマイルドでぬるく感じられた。各キャラが満遍なくキャラクタライズされていて、フォーカスも均等に当たっていく感じは、キャラクタービジネスのどうしようもない定めのようにも見えた。

でも、まどマギみたいな少女たちの存命を賭けた戦いとそのアニメーションが、レビュースタァライトでは比喩のレベルでおこなわれているというコンセプトはすごいことだよなぁと思う。レイヤーの操作というか。新しいよなぁ。

寝る。自分におつかれ。